実況者夢小説~曲パロ短編集~ パート３

魔法使いの弟子　Loi　続き　× ページ10

『いい？魔法ってのは、天使なんかには使いこなせないものなんだよ。』

『はい、先生』

『だから、愛情なんていちいち注いでたら、いざってときに魔法は使えやしないし、
覚えてても役になんて立たないんだよ。いいか？』

『はい、先生』



『だっ…その魔法をどこで覚えた！？そんなの教えていないはずだろ！？』

『はい、先生…』

『だぁぁ…その魔法は絶対唱えちゃダメだからな！
その魔法は、口にしちゃいけない…わかったな！？』

『はい、先生…』

ごめんなさい先生。

優柔不断な弟子でごめんなさい。

「ね、Loi…」

右袖に隠してある、小さな、小さなナイフ。
こんなもので人は切れそうにないが、喉元を刺せば一瞬だろう。

「何？」

「………。」

どうしよう、どうしよう…

まだ決めかねている。
友を選ぶか、恩師を選ぶか…

「…Loi、はさ…」

「？」

「もうすぐ自分が殺されるってわかったら…どうする？」

「…んあぁ、そりゃあ、生きたいと思うよな。
だから多分、犯人ぶっ殺してでも生きようとすると思う。」

「…そっか…」

Loiは死にたくない。
先生の言うことは聞かなければいけない…

どちらも取るだなんて、不可能だ。

「…ねぇ、Loi。」

「？」

「ごめんなさい。僕にはできない。」

「え？何が？」

僕は右袖に隠していた、小さな小さなそのナイフを…

…彼の目の前で、飲み込んだ。

「えっ！？ちょっ、ばか！お前…吐き出せって！いや、無理…か！？
いやとにかくやめろ！！吐け！！吐き出せ！！」


不器用な弟子でごめんなさい。

不器用な友達でごめんなさい。


頬を伝う涙、強く揺さぶられる肩…

僕は泣きそうになりながら必死に叫ぶ君を見て、小さく、小さく呟いた。


「 」


「ちょ、それって……！！」

ぐらりと視界が反転する。
痛みも苦しみも、何も無く。



どさりと鈍い音がしない。

＊
魔法使いの弟子 くるりんご

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