実況者夢小説~曲パロ短編集~ パート３

悪ノ召使【Rt】　グルッペン・フューラー　続き ページ46

『…背後？何か隠し持っていると思うんか？護身用のナイフは既に取り上げられてるゾ』
『あんたらしい躱し方やな。そうでないのはわかってるくせに。』

挑戦的な目で、挑発するようにトントンはグルッペンに告げます。

『あんたの悪行が、全部あんた自らが行ってることじゃないって知ってんやで。
今の俺なら全部お前のことを弁護できる。あんたの後ろに居る黒幕は生贄になるけどな…
悪い話じゃないやろ！』
『残念やな！俺は誰かに操られていたわけと違うぞ！』
『ほーん、普段は？あんなにも賢明で？聡明なあんたが、あんな感情的な判断を下すとは思えんけどなぁ？』

穏やかだった雰囲気が、一転してビリビリとした空気になりました。
格子を叩き、暴言を吐き合う…喧嘩するほど仲が良いとでも形容しましょうか？あぁ、違いますか…

『ハン、知っとんやでお前！お前の"豹変した妹"が王位を継承する権利を剥奪されたことも！それで存在自体もみ消されたことも…』

しかしトントンの説得も虚しく、彼は話すことを拒絶します。


『……その話をするなァ！！』


グルッペンが怒鳴ると同時に、格子を拳で思い切り殴ると、ガン！！という音が、牢獄内に響き渡りました。
ピタリ、とそこで口論も止みます。

『……チッ、そんなに真実が知りたきゃこいつを持ってけ。
俺の口からは一切喋らんぞ。』

『…は？おいちょっと待て、これは…』

今までにないくらい憤慨していたグルッペンは、小さな手鏡をトントンにぽいっと投げつけると、獄内の固い布団で不貞寝をしてしまいました。


＊・＊・＊・＊

そうして翌日の午後３時。
彼は処刑されてしまうのです。

王は最期に、『おやつの時間だ』と言って小さく微笑んでいたそうです。
彼はAが作っていた甘味をよく好んで食べていたという話がありますから、もしかしたら、最期の最期に、彼女が作る菓子の味を思い出していたのかもしれませんね。

…あぁ、Aの行方ですか？それは、どこにも載っていませんでしたし、誰に聞いてもそこはわからないという回答しか返ってきませんでしたから…。
もしかしたら、グルッペンの策略通り、誰にも知られることなく平穏な生活へ戻ったのかもしれませんね。

ねぇ、Aさん？
………あ、そういえば、貴方のお名前と召使のお名前、一緒なんですね。何かあるんですか？

「………。」


＊
悪ノ娘 悪ノ召使 悪ノP(Mothy)

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