実況者夢小説~曲パロ短編集~ パート３

わたしの未成年観測　つわはす　続き ページ36

杏兎さんリクエスト。長い。コメント返信直後からやってるけど、作業時間長い！！
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その気だるげな目で、何もかも見てきた。観察は私の得意中の得意だ。
…でも、その観察対象は、未成年の人ばっかりだった。

3年前。閉鎖的な教室で、人を信じることをやめた彼。
今、転校してきた少女だけは信じているようだけど、相変わらず先生も親も引きずりおろそうとしてる。
そんな彼は、未成年だった。

2年前。彼は何もかもを捨てようとした。
最終的には、捨てようとしたはずの子に止められたけど、彼が生きていけるだけの環境は当の昔に捨てられていた。
そんな彼も、未成年だった。

去年。彼女はひとごろしのバケモノに殺された。
バケモノは殺す気なんて無かったみたいだけど、お友達にその薬を毎回渡してるってのはどうかと思う。
そんな彼女も、バケモノも未成年だった。

今年。彼は屋上の、フェンスの外で何かを呟いていた。
その目は虚ろ気で、少し遠くを見つめているようだった。…まだ彼の観察は終わっていない。


さて、ここまででおわかりいただけるだろうか。
私が無感情に観察している対象は、全て私と同じ…未成年なのである。

でも、やっぱり私と彼らは違う。
彼らは特別なのだ。私みたいに、平々凡々な女の子とは違う。
人間不信に潔癖症、虐待されてた子供に…バケモノはまぁ、言わずもがな。
不幸になれども、それが間違っていようと、他とは違うものを持っていたのだ。

彼等は私みたいな凡人とは明らかに違うものをもっていた。それが羨ましかったのかもしれない。


「……あっ」

パラパラとノートをめくって、シャーペンを走らせていると、彼にまた新たな動きがあった。
喜んでいるような表情をしている…そもそも、彼はなぜここに来ては帰り、ブツブツ呟いては安心したような顔をするのだ？

誰かと会話をしている？いや、ここには彼しかいない。しかも彼の口調は他者が聞き取れる程はっきりしているものではなかった。
まさか、彼自身と会話しているのでは？彼は自分に何らかの言い訳をして、それで一瞬の満足を得て、それで帰っていっているのか？それで翌日には、もうその幸福感というのは消え去っていて…

私の中である仮説が立ったとき、私は走り出した。
頭は既に興奮状態にあり、まともにものを考えられないようだった。

お願い、まだ見させて、その個性を捨てないで…

「…まっ、て」


＊
わたしの未成年観測 くらげP

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