泥棒と警備員 P-P 続き ページ33
あったかい手。あぁ、懐かしい、彼女の手だ。
恐怖と驚愕、そして嫌悪に染まった目で僕を見つめている。そんな目をしないでよ、僕達は貴方を救いに来たんだよ。そして褒めて!
「やっと見つけた…!」
思わず歓喜の声を漏らした。
*・*・*・*・*
幼い頃、僕は親を知らずに育てられた。
毎日、今思えばよくわからない飲み物と食事を与えられ、夢も希望もクソもなく、育てられた覚えがある。
そこを彼女は救ってくれた!やり方はちょっと手荒だったけど、僕達を救ってくれたことには変わりないんだよ。キヨも、レトさんも、つわはす君も、嬉しそうだった。
「いつか何かの形で返せたらいいな」
そうして話していたのも束の間、彼女は姿を消した。一束の髪の毛を残して。
「…レトさん、これ何だと思う?」
「え?いや、そりゃあ…髪の毛やろ。」
「バカだよねーレトさんって!何でこれが落ちてんのか、っつーことだろ。」
「もしかして、だけどさ…あれか?あの…」
手配書、とつわはす君が不安そうに言う。
そっか、そうだよね、形はどうであれ、僕達がいた施設、爆破しちゃったもんね、と口々に言うキヨ君とレトさん。どうしよう、これじゃあ、お礼もできないじゃん…
とにかく、食べていける方法を探そう!お礼はそのあと、彼女に巡り逢えたら!命あっての御礼だろ!
そうして僕達は彼女を探すことを前提に、食い扶ち稼ぎに出た。
*・*・*・*
そうして巡り合えたのが、宝石店の警備についたときだ。
真夜中に女が一人、恐らく相当手練れだ、確保に向かえとの通信が入ったとき、思い出してしまったんだ。確か彼女は、強盗してたけど、僕達に食べさせるため、盗みもしていると聞いた。でも…
指示をよく聞かず、勘で飛び込んだその部屋に、彼女はいた。長い長いあの髪、切ったんじゃなかったの、と思ったが、もう何年も経ってるだろ、腰まで伸びててもおかしくないよ。
焦ってそこの窓から飛び出そうとしても無駄だよ、そこすっごい低いけどフェンスあるんだよ、足引っかかっちゃう…
まるでスローモーションになったかのような景色を見ながら、僕は彼女の手を掴んだ。
「やっと見つけた…Aさん!」
蒼白になっていく彼女の顔面とは逆に、僕の表情は徐々に明るくなっていっている。
今はもう小さくなってしまったその手を、体を引き上げ、再度彼女の顔を見て笑いかけた。
「長いかくれんぼだったね!Aさん!」
*
泥棒と警備員 くるりんご
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雛月美鈴 - 空屋さん» リクエストありがとうございます!(大罪短編の方でもリクエストしてくださいましたよねありがとうございます)towacoさんで、リバーシブル・キャンペーンですね!恐らく続編での更新となりますので、よろしくお願いします! (2018年6月11日 9時) (レス) id: 98dfe5f018 (このIDを非表示/違反報告)
空屋(プロフ) - リクエストなんですが、towacoさんでリバーシブル・キャンペーンを書いていただきたいですm(*_ _)m (2018年6月11日 1時) (レス) id: a84e1330a7 (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - おおおおおおおおおお!ありがとうございますうううううう!さいこーですううううう!! (2018年5月7日 20時) (レス) id: a9c85d66d2 (このIDを非表示/違反報告)
雛月美鈴 - 涙さん» コメントありがとうございます!面白いと思っていただけて嬉しい限りです!あろま先生で、「地球最後の告白を」ですね!もしかしたら続編での更新になるかもしれませんが、連休中には頑張らせていただきます! (2018年5月2日 16時) (レス) id: 98dfe5f018 (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - とても面白いです!リクエストいいですか?あろま先生で『地球最後の告白を』お願いします! (2018年5月1日 19時) (レス) id: a9c85d66d2 (このIDを非表示/違反報告)
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