実況者夢小説~曲パロ短編集~ パート３

ノスタルジックドリームガール　ロボロ　 ページ4

学パロ注意
＊・＊・＊・＊・＊

たった一つだけ、気掛かりなことがある。
最近、Aの様子がおかしいことだ。

テレビをつけては消し、新聞をちらりとめくっては閉じる。落ち着きがないというわけでもない。
ただ、なぜそのような行動をとるのか、俺には疑問でならなかった。
本人に聞いても、「何でもない」と返されるだけ。
もともと不思議な子ではある。もうそろそろ二十歳なのに、中身は全然子供のような子だ。


…心配なのに、な…


一日の講義を終えて、自室のベッドへ倒れこむ。
何もかもを投げ出して、このまま眠ってしまいそうだ。

まぁ、それでも別にええかな…
無駄に抵抗して起きようとしたところで、結局は負けるんだから…


＊・＊・＊


夢…か？

ぬいぐるみに囲われた世界。
足元は暗い深淵のようで、透明なガラスの板か何かがあるかのように、俺は空中に立っている。
明らかに夢の世界だ。

一歩、一歩と恐る恐る踏み出してみるが、特に落とし穴があるわけでもなさそうだ。普通に歩こう。

それにしても…ここは何だ？
俺の夢、にしては乙女チックすぎるで？
可愛らしいが、つぎはぎだらけで、少しグロテスクな…そう、Aが好みそうな…

「っちゅーことは、Aの夢…？」

いやいや、俺が今、ここにいるってことは、んなわけはないやろ。
他人の夢に自分の意思が介入なんて、できるはずがない。
でも、俺がこんな夢見るかぁ？

そうこうしているうちに、もう結構進んできている。
歩き始めた場所がどこかわからなくなるくらいだ。
そこにあるもの中に、ぬいぐるみだけでなく本棚も混ざってきている。

…一旦歩みを止め、本棚の中の一冊を手に取って、読んでみた。
『カエルの王様』…『マリアの子』…『三つの言葉』…童話らしいが、どれも俺が読んだことのない話だ。

…つまり、ここは俺の夢ではない。

だとしたら、Aの…？


カチ、カチ、と時を刻む音がする。
オレンジ色のそれは、11:45を示していた。

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