実況者夢小説~曲パロ短編集~ パート３

モルモットと傭兵　よんもじ三銃士　 ページ17

ぺたりと座り込み、眠る二人の方を見る。
寝相が悪く、布団を蹴散らしているが、気持ちよさそうに寝息(いびき)を立てている。

真っ白で機械的な壁に塗りたくられた下手くそな絵。
それが俺達がこの目で見た世界の全てだった。


「…はたさこ？まだ起きてたの？」
「ん？あぁ、まぁ。」

俺達の世界は、この閉塞した実験施設の片隅に過ぎない。
温度も適温で、おもちゃも十分にある。でも日の光は全く入ってこないし、遊べる友達もこいつらだけ。
それに、狭くて息苦しいし、常に薄暗い。時間も全くわからない。
白衣の人が来たら飯、薬、飯、薬…全くもって嫌になる。
まるで餌にされるまでのひよこみたいで…まるで実験動物みたいで…

「なぁ」
「？」
「あの丘越えたらさ、外に行けるんだろ？」
「…」

「いつか外の世界に行きたいな！なぁ、はたさこ？」

「…おう。」

そう言って笑顔を向けるうばまろさん。

「ねぇ」
「？」
「外の世界って、幸せな場所なんだよね？」
「…」

「あの子は幸せになったかな？神様に連れ出してもらえたんだもんね。」

「…。」

まだあの子のことを気にかけているかわぞえさん。

俺は二人の言っていることを否定することが、今日もできない。
あの丘はただの絵だし、外の世界に行っても幸せになれないことの方が多い。
きっとあの子は誰かを殺すために外に出されたのだろう。神様だなんて…いつもと違う恰好をした職員じゃないか。

「…」

今、俺達は不幸せなのだろうか。
それすらもわからなくなってくる。

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