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続き ページ34

「例えば…カルーソーのカクテル言葉は『透明』」

ゾクッとした。
透明だって?何故?

いや、それより、俺は『俺』を見透かされたみたいで怖くなった。
何故、なんでこの人が知っているんだ?

「こんなに綺麗な緑色なのにね」

そう言って頬を撫でられた。
驚いて顔を上げる。

陽向さんの顔にはなんの感情も浮かんでおらず、彼の瞳には俺が写っているだけだった。

「透き通っていて綺麗だから『透明』なのかもね」

そんな顔も一瞬のことで、いつものように笑った陽向さんに頭をぐしゃぐしゃに撫でられる。

「ちょ、やめろって」

その笑顔に安心して俺も笑った。

「なぁ、陽向さんの誕生酒って?」

「なんだと思う?」

「いや、俺、酒のことはわかんねぇよ」

そう言って手元に目線を移す。
ゆらゆらと揺れるカルーソーに寂しそうな顔をした青年が映った。
俺、こんな顔してたのか。
急に恥ずかしくなって笑顔を作る。
すると、コトッとカルーソーの横にグラスが置かれた。

「えっと?」

「モッキンバード」

「え?」

おそらくこのお酒の名前だろうか。
カルーソーとはまた少し違った綺麗な緑色を手に取る。

「これも、綺麗な緑色だな」

「僕の誕生酒だよ」

「へぇ…俺と似てる」

一通り眺めてからひと口飲む。すっきりピリリ、と言うような感じだ。カルーソーと少し似ているが、また違った味わい。
ミントを感じる大人の味がした。

「僕と君は『似たもの同士』…ってね?」

「そうか?陽向さんの方が俺より…」

すごい人だ。

と続くはずだった言葉は目の前の店主によって阻まれた。
急に口元をおさえられて驚く。

「自己肯定感が低いなぁ…もう」

「???」

訳が分からなくて焦る。
心なしかこの人が怒っているように見えて、俺は不安になった。

「君は俺にとって…特別なんだから」

やけに真剣に言う陽向さんに言葉が詰まった。
それは、どう言う意味なのか…なんて聞けなかった。

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作者名:黒洞揚羽 x他6人 | 作成日時:2020年11月29日 1時

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