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「やぁ、翠君、誕生日おめでとう」

「ん、ありがとう陽向さん」

俺はあれから、昼の時間帯や空き時間にまぁそこそこ頻繁に『Jede』に来ていた。
陽向さんとの話は楽しいし、食事は美味しいし特に趣味のなかった俺の楽しい一時である。

「今日はもう来ないかと思ったよ」

「時間帯的に?」

俺が聞くと陽向さんは頷いた。
外をチラッと見る。大分闇が深くなったと思う。
そう、俺は、今日は夜にここに来た。
誕生日で二十歳を迎え、お酒の飲める歳になったため、夜はBARをやっているここに初めて来たのだ。

「初めてのお酒は陽向さんとこにしたかったから」

少し恥ずかしいが、そう伝えると陽向さんは一瞬驚いて、それから笑った。

「じゃあとっておきのものを振る舞わなければね」

「なんでもいいよ」

なんて口では言っているが、正直とても楽しみだ。
お酒のことは分からないし、陽向さんに任せておけば大丈夫だろう。
しばらくして綺麗な緑色のカクテルが目の前に置かれた。

「お待たせ」

「綺麗な緑だな…」

メロンソーダに似た、それでいてもっともっと透き通って照明の反射するこれに、俺はしばらく見惚れていた。

「カルーソーというお酒だよ…翠君の誕生酒でもある」

「誕生酒なんてあるんだ」

そっとひと口飲んでみる。
………なんというか…大人の味がした。

「翠君はカクテル言葉って知ってるかい?」

「花言葉みたいな?」

慣れない味にちびちびと飲んでいると不意に声がかかった。
少し考えて近しいだろうものを答えると陽向さんは笑った。

「まぁ、似たような感じかな」

「へぇ…」

そんなものがあるのか。
なんて思いながら揺れる緑色を見ていた。

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作者名:黒洞揚羽 x他6人 | 作成日時:2020年11月29日 1時

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