続き ページ25
「良し、後片付け終了」
そう言った後に軽く欠伸を漏らせば、シュルクが此方を見つめながら首を傾げる。
「疲れた？」
「ううん。ただ、眠いだけ」
「夜遅かったんだっけ。今、寝てても良いよ。少し経ったら起こすからさ」
「……うん」
大丈夫、と答えようとしたが眠気には勝てない。
空いているスペースでゆっくりと横になれば、適当に重なって置かれていた毛布から一枚、シュルクが上に掛けてくれる。
「もっと暖かい毛布有るけどそっちが良かったりする？」
「……」
これでも十分暖かいよ、という意味を込めて笑みを浮かべればシュルクも笑みを返して来た。
そして意識は夢の中に──
「エルシア、起きて」
「ん、んん……」
「門限の時間近付いてるよ」
「……えっ！？」
その言葉に飛び起きる。
横から此方を見ていたシュルクが驚いた……なんて声を上げるが気にしていられない。
「今、何時？」
シュルクの部屋の時計を見れば、現在時刻は18時40分。
門限は19時丁度だから、後20分しか無い。
「私、凄く寝てた……」
「気持ちよさそうに寝てたから、今の今まで起こせなくて。御免ね」
「ううん、大丈夫。じゃあ、私は帰らなきゃ、今日は本当に色々と有難う」
朝ご飯も昼ご飯もシュルクが作った料理を食べさせて貰い、果てには6時間近くこの家で寝かせて貰った。
「じゃあ、また明日」
「うん、さよなら」
普段なら″また明日″と同じ様に返してくる為少し違和感を覚えたが、言い方が違うくらいで指摘していては失礼だろう。
そのまま手を振り、帰路に向かう。
その時は知らなかった。
──彼の言葉や、含みのある笑顔に意味が込められていた事を。
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作者名：黒洞揚羽 x他6人 | 作成日時：2020年11月29日 1時
