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「……あれ、寝てた?」
目を開けてみれば、其処は騎士団宿舎の最上階にある自身の部屋が見える。
瞬間的にそう呟いてから思い出す。
昨日の夜はずっと効率的な訓練内容について考えていて、寝た記憶は無い。
つまり、俗に言う寝落ちという奴。
「訓練の時間……!」
時計へと視線を移せば、現在時刻は八時半。
訓練は8時40分からだから、かなりギリギリだ。
真面目……というか、騎士団に対して並々ならぬ強い感情を持っているエルシアは今まで1度も訓練に遅れた事も休んだ事も無い。
「エルシア、起きてる?」
「その声、シュルク?」
急いで準備をしていると、部屋の扉がノックされる。
聞き覚えのある声に問い掛けてみれば、扉の向こう側から肯定が返ってくる。
「訓練場に行ったんだけど、珍しくエルシアが居なかったから迎えに来たんだ。風邪引いた、とかじゃないよね?大丈夫?」
「大丈夫よ。昨日の夜遅くまで起きていたから、朝早く起きれなかったみたい」
今の言葉には事実と異なる点もあるが,起きれなかったというのは正しいのでまぁ良いだろう。
「早く寝ないと駄目だよ?エルシアの事だから、訓練内容でも考えてたんだろうけど」
「え、」
「ほら図星」
「もう……!」
シュルクには隠し事は出来ない。
それはこの騎士団全員の共通の考えだが、揶揄われるのはエルシアだけだ。
理由は分からないが、気を遣う必要が無い親友だから、と返されたらそれはそれで気恥ずかしいので聞くのもやめておく。
「ほら、準備終わったから行くよ」
「うん」
騎士団の制服に着替え、模擬戦用の模造剣を手に扉を開ければ目の前に立っていた予想通りの人物……シュルクに声を掛け、そのまま訓練場に向かう。
「ふふ、急ぎ過ぎたね。ズレてるよ」
「え、あ、有難う」
笑みを浮かべながらシュルクが手を伸ばしたのは、騎士団団員の証である腕章。
普段ならピンで抑えているが、どうやら適当過ぎて外れてしまっていたらしい。
「おはよう、2人共」
「「おはようございます、団長!」」
訓練場に行けば、殆どの団員が揃っていた。
そしてその前に居た団長が声を掛けてくる。
「遅刻寸前だ。シュルクもエルシアも珍しいな」
「う、寝坊しまして……」
「まぁ遅刻してないなら良い。まだ来てない奴等も居るからな……良し、8時半になったから訓練を始めるぞ」
「「はい!」」

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作者名:黒洞揚羽 x他6人 | 作成日時:2020年11月29日 1時

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