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──そして時間が経過し、
「やめ！実戦形式訓練に移る。全員、開始地点に直ぐ集まれ！」
少し離れた所にいるエルシアとシュルクにもしっかり届く程の大きさで、団長が集合の合図をする。
普段の団長を見るにメガホンも使っていない筈だから、流石団長といえる。
団員も少なくは無い為、全ての訓練試合を1度にやる事は出来ない。
エルシアもシュルクも、脇の方に寄り、戦っている団員達を眺めていた。
「あ、あの人凄い」
「おお、エルシアに凄いって言わせる人が居るんだ」
「もう、私だって凄いって言うよ？」
「じゃあそうだな……マルトとエルシアが右端。シュルクとエリカが左から2番目の所！」
そんな会話をしていると何試合かが同時に終わったらしく、団長が声を上げエルシアとシュルクが同時に名前を呼ばれ、別々の場所に向かう。
エルシアの相手は、1歳年上の団員。
特に剣の扱いは上手いとも下手とも聞かないが、油断は出来ない。
「宜しく」
「ええ、宜しくお願いします」
ちらりとシュルクが向かった方を見てみれば、少し遠いが、挨拶をしている様子が映った。
「では、始め！」
団長の開始の合図と共に、相手はエルシアの懐に向かって突っ込んでくる。
「真っ直ぐ向かって来るなんて、愚かです」
騎士としての誇りを持っているとは言え、真っ向から来るのは自らの命を捨てるのと同意義だ。
「はッ！」
此方に走ってくる相手に向けて丁寧に急所を狙い、そして素早く、剣を突き付ける。
「ふふ、終わりです」
団長が相手なら剣を突き付けても、エルシアを勝る速さで剣を叩き落とし、此方に来るのだろうと推測出来る。
というか、実際に訓練試合でそれをやられた。
あの時の衝撃は凄かったな、なんて内心思っていれば相手が降参の意を込めて剣を仕舞う。
「騎士だからと言って、真っ向から向かってくる必要は無いんですよ」
「……」
少し上から目線過ぎただろうか。
立ち尽くしていると、審判をしていた筈の団長がいつの間にか直ぐ傍に立っていた。
「エルシアは相変わらず楽しそうに戦うな」
「駄目でしょうか？」
「駄目ではないが……「エルシア！」ん？」
団長の言葉に問い返していた所、横から声が掛かる。
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作者名：黒洞揚羽 x他6人 | 作成日時：2020年11月29日 1時
