12. We snuffle.【9/10】 ページ25
シリウスのアドバイスのおかげで、それから三十分ほどして、Aのレポートは仕上がった。最後のピリオドを打って、満足して全体を見直してみる。スペルミスは無さそうだ。
「終わった？」
シリウスに訊かれて顔を向けると、思いのほか近くて驚いた。絶対に、さっきより近づいている。お互いの座っている椅子が、ほとんどくっつきそうになっていた。思わず首をすくめて、Aは小声で訊ねた。
「ち、近くない……？」
「だめ？」
Aの顔をのぞき込んで、悪戯っぽく笑うシリウスに、Aは視線を泳がせた。
「だめ、では、ない、です」
赤くなって答えると、シリウスは満足気に微笑んで、Aに顔を近づけた。
「なんか、いい匂いがする」
「え？ 今日はお菓子もっていないよ」
「お菓子の匂いじゃなくて、甘い……花みたいな」
すんすんとシリウスがAの匂いを嗅ぐので、Aはちょっと戸惑った。犬の動物もどきになると、人間の姿をしていても鼻が利くようになるのだろうか？
近づいたシリウスから、いつもの香りがする。たぶん香水だろうと思われる、少しだけ甘く、すっきりと洒落た、シトラスのような爽やかな香りだ。Aもシリウスの真似をして、すんすんとシリウスの首元に鼻を寄せた。
「私、シリウスの香りも好き」
「えっ」
シリウスが驚いて体を起こし、Aの顔を見たので、Aは照れ笑いした。
「安心するけれど、ドキドキもするの」
シリウスが顔を赤くして、熱のこもったグレーの目が、Aの目を見つめた。ゆっくりと近づいてくるシリウスの顔にドキドキしながら、Aは膝の上で両手を握り締めた。
「おっ？ ちゅーか？ ちゅーするのか？」
「ジェームズ、しーっ！」
ジェームズとピーターのヒソヒソ声に反応して、シリウスはパッとAから離れた。二人の存在が頭から消えかかっていたAも、真っ赤になった顔を両手で覆い、いたたまれなさから机に突っ伏した。
「気にせず続けてくれ、パッドフット」
「そうだよ。僕、参考にするから」
「何の参考だよ！ ちょっとオブリビエイトさせてくれ」
「目の前でいちゃつき始めるのが悪いんじゃないか。見ているこっちの気にもなってみろ。羨ましすぎてコンフリンゴしてやろうかと思ったよ」
「Aはあげないぞ！」
「おいおい、勘違いするなよ。僕がキスしたいのはリリーだけだよ！」
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Helga(プロフ) - ノさん» 一番好きだなんて嬉しいです！(*´>∀<｀*)たくさんのときめきをご提供できるように今後もがんばります(*´∇`*) (2020年5月20日 17時) (
レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ノ(プロフ) - シリウス落ちの小説の中でいちばん好きです！ときめきが止まりません… (2020年5月20日 15時) (レス) id: 9ec259d83f (このIDを非表示/違反報告)
Helga(プロフ) - ケイトリンさん» なんと！こちらでも見つけて頂けるなんて嬉しいです(*ﾉω・*)てれてれ 今後とも楽しんでいただけるようがんばります！ (2020年5月19日 22時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
Helga(プロフ) - はなさん» ありがとうございます！読み返して頂けるなんて嬉しい…！！引き続き楽しんでいただけるようがんばります(*´∇`*) (2020年5月19日 22時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ケイトリン - pix○vでも読ませて頂いてます！本当に面白いです！毎日の楽しみにしてます(笑)無理せず頑張ってください！応援してます！ (2020年5月19日 18時) (レス) id: a8b20e8257 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Helga | 作成日時：2020年5月16日 10時
