1. Please call me Collie! 【6/10】 ページ6
男の手がマイケルの肩を掴み、次の瞬間勢いよく、マイケルの横面を拳が殴りつけていた。バキッ! という痛々しい音が響き、マイケルはそのまま地面に倒れ込んだが、殴った男を睨み付けた。
「てめっ……」
「まだ殴られ足りないか?」
マイケルはぐっと歯を食いしばり、立ち上がって男と対峙した。Aを背中に庇うようにして立った男子生徒は、綺麗な黒髪をした背の高いグリフィンドールの生徒だった。
「お前には関係無いだろ、ブラック」
「こいつは俺の女なんだよ。手を出すな」
「その気にさせたのはその女のほうだぞ! クソビッチ!」
ブラックの拳がマイケルの頬に向かって再び飛んだ。マイケルは今度こそ倒れなかったが、怯えるようにゆっくりと後ろへ下がっていく。
「今度彼女を侮辱したら、二度とその口きけないようにしてやる」
チッ、と盛大に舌打ちし、マイケルは足音荒く立ち去った。Aはほっと胸を撫で下ろし、ずるずると壁に背を預けたまま座り込んだ。
視界に影が入り暗くなったので、顔を上げると、綺麗な顔の男の子が目の前にしゃがみ込み、Aの顔をのぞき込んでいた。色白の肌、鋭い印象を与える吊り上がった細めのグレーの目、サラサラした長めの黒髪。
名乗られなくても名前は知っている――グリフィンドールで一番ハンサムだと有名な、シリウス・ブラックだ。
「何してんだよ」
「ご、ごめんなさい……。あの、助けてくれて、ありがとう」
「別にいいけど。お前は俺の女になったわけだし」
「ええっ?」
「だってお前否定しなかっただろ」
「あ、あれは、マイケルを追い払うために言ったんでしょう?」
「この俺が助けてやったのに、ありがとうだけで済ませるつもりか?」
救世主だと思ったのに、マイケルより性質が悪いかもしれない。ブラックはAの顔を挟むように手を伸ばし、壁に手を着いた。
一日に二度も同じ手を食らうなんて、学習しないにも程がある。その上、今度は座り込んでいるため、蹴り上げるという手段は使えない。
「断るって言うなら、今すぐここでキスしてやるけど。どっちがいい?」
「ひ、ひどい……!」
「さっきの奴より俺の方が良い男だろ」
「どこがよ! 一緒じゃない!」
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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります〜! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Helga | 作成日時:2020年5月1日 22時