6. Be a good boy. 【3/14】 ページ45
「ごめんね、困らせるつもりはなかったんだけど」
リーマスがまた困ったように笑ったので、Aは勢いよく首を横に振り、熱を込めて主張した。
「私、今は蛙チョコレートを切らしているのだけれど、今度ちゃんとお礼をするから! リーマスのためになら、一年分のお小遣いを使い果たしたって、全然後悔しないもの!」
「本当に? 一年間おやつが食べられなくなっちゃっても、いいの?」
「うん!」
Aはすかさず頷いたが、一年間おやつ無しの生活を想像して身震いした。
本当に耐えられるかな? Aの不安が表情に出ていたようで、リーマスはおかしそうに吹き出して、肩を震わせて笑った。
「冗談なのに、そんな不安そうな顔!」
「だ、だって……一年間もお菓子を食べられないなんて、想像したことある?」
「ない。うん、確かに、壮絶だ」
リーマスも辛い一年間を想像してAの考えに同調したが、それでも笑いを堪えることができなかった。
笑いすぎて目尻に涙を浮かべる程だったので、Aは恥じ入って俯いてしまった。
リーマスはAがショックを受けたと思ったようで、慌てて謝った。
「ごめん、悪気があったわけじゃないんだ」
「わ、わかってる。怒っているわけじゃないの。ただ、あんまりにも恥ずかしくて」
「ぷっ」
リーマスはまた笑いそうになり、慌てて手で口を押さえた。
「もう。思いっきり笑っていいよ!」
Aは自棄になって言った。
「ごめん。ほんとに悪気はないんだ。女の子と話していてこんなに楽しいと思ったの、はじめてだよ」
いつもの「優等生」を絵に描いたような笑顔ではなく、心から楽しそうにしている、屈託のない笑顔だった。それが真っ直ぐ自分に向けられたのだと認識した瞬間、Aの頭は湯気が出そうなほどの衝撃を受けた。
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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります〜! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Helga | 作成日時:2020年5月1日 22時