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6. Be a good boy. 【2/14】 ページ44

「午前中は何をやったんだい?」

「変身術、天文学、数占い学、呪文学、魔法生物飼育学」

「すごいね。ほとんど全教科じゃないか」

「教科書を読んだだけだよ。呪文学と魔法生物飼育学は、シリウスが教えてくれたけれど……」

「何をやったの?」

「直前呪文と、ケルピーをやったの。シリウスが魔法でケルピーを見せてくれて。すごくかわいかった!」

 ケルピーの愛くるしい姿を思い出してAは頬を緩めた。リーマスはAの回答が予想外だったようで、目を丸くして聞いてきた。

「もしかして、授業の前に全部予習してるの?」

「う、うん……一応」

 いまだに英語に自信が無いからだというのは恥ずかしくて言えなかった。

「驚いた。さすがハッフルパフの監督生だ」

「グリフィンドールもまだ習っていない範囲なの?」

「『怖がらせ呪文』は金曜にやったけど、ケルピーと直前呪文は僕もまだだよ」

 それならどうしてシリウスは教えられるほどケルピーのことも直前呪文のことも詳しく知っていたんだろう?

 ただ頭が良いというだけだったら、授業で習う前に呪文を使いこなせるはずがない。その場で教科書を読んで瞬時に理解したという様子ではなかったし、シリウスは事前に勉強していたに違いない。

 それなのに、真面目に予習するシリウスの姿はいまだにAには想像できなかった。

「やっぱりシリウスに教えてもらう方がよかった?」

 リーマスが困った顔で訊くので、Aは慌てて首を振った。今日は下ろしたままの黒髪が横に揺れた。

「そんな事ないよ! リーマスに教えてもらえるなんて、本当に嬉しい」

「なんだか無理やり言わせたみたいで悪い気がするなぁ」

「違うよ。本当に心から感謝しているの」

 感謝の気持ちをどうやって表現すればきちんと伝わるのかわからない。

 嬉しいと言うだけでは足りなくて、夢みたいだと表現するのは恥ずかしい。

 日本語だったらもう少し上手に気持ちを表現できる気がするのに、それではリーマスには伝わらない。

 言葉の壁を感じてしまい、目頭が熱くなるほど悔しかった。

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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります〜! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Helga | 作成日時:2020年5月1日 22時

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