6. Be a good boy. 【1/14】 ページ43
昼食を食べ終えると、シリウスはさっさと席を立っていなくなってしまった。「またな」とは言ってくれたが、やっぱりシリウスと少し仲良くなれたような気がしたのはただの思い上がりで、シリウスはもうAと関わりたくないと思っているのではと、Aは急にまた不安に駆られた。
大広間から出て行く後ろ姿をぼーっと眺めていたが、シリウスは一度も振り返らなかった。
「シリウスとはどこで練習してたの?」
リーマスが聞いてきたので、Aは慌ててリーマスに向き直った。
「必要の部屋だよ」
「そうなんだ。じゃあ、僕たちもそこでやろうか」
「うん!」
きっとシリウスは、Aがリーマスと距離を縮められるよう、チャンスを作ってくれたのだ。Aの恋を、友達として応援してくれるつもりなのだ。シリウスには感謝しなければならないと、Aはぼんやり考えた。
ピーターが先に談話室に戻ると言って席を立ってしまったので、Aは急にリーマスと二人きりになってしまったことに緊張してしまい、スコーンが喉を通らなくなってしまった。大広間にいる生徒は多いので、厳密には二人きりではないけれど。
「シリウスと何かあった?」
リーマスが優しく尋ねた。
「えっ、ど、どうして?」
「ずいぶん打ち解けたみたいだったから」
「そう、だと……いいな」
「きっと大丈夫だよ。スコーン、食べきれないなら包んでいこうか。おやつにできるよ」
「うん! シリウスったら、なんでこんなに……」
「コリーが喜ぶと思ったんじゃないかな。練習が終わったらお茶にしようか」
「う、うん、喜んで」
リーマスがこうやって誘ってくれることを見越しての行動だったなら、シリウスは天才に違いない。
Aのお皿の上に残ったスコーンを手際よく紙ナプキンに包んだリーマスが「そろそろ行こうか」と声をかけたので、Aはいそいそと立ち上がった。
リーマスと並んで廊下を歩くだけで、Aの心臓は今にも爆発してしまいそうだ。大幅に寿命を削られているような気がしてならない。
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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります〜! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Helga | 作成日時:2020年5月1日 22時