5. Please get attached to me.【2/9】 ページ35
入学したばかりの頃、ホグワーツの先生は、まだ英語がたどたどしいAのことを授業で名指しするのは遠慮したし、授業についていけなくても誰も何も言わなかった。
外国人だからわからなくても当然だと見逃してくれていたのかもしれないが、他の生徒と平等に扱われていないのを感じて悔しかったのも本当だ。
「それから無意識に気にするようになってた。気づいたら、三年になった頃には授業で指名されてもなんとか答えられるようになってたし、六年生になったらハッフルパフの監督生だ。努力でこんなに変わるもんなのかって感心した」
「支えてくれる友達がいてくれたからだよ」
Aひとりだったら、挫けて学校をやめていたかもしれない。メアリーや、ジョン、テオが傍にいて、いろんなことを教えてくれたから、支えてくれたから、少しずつ変わっていけたのだ。
「もっと早く声を掛ければ良かった。そうしたら、リーマスじゃなくて俺だったかもしれないだろ」
「……それは、どうだろう……」
「手厳しいな」
「私も、シリウスの教科書に驚いたよ。意外と勉強熱心なんだね」
「意外と、って何だよ。俺は何に対しても熱心で情熱的だろ」
「そうだね。私が勝手に、クールでそっけない印象を持っていただけみたい」
「そっちの方が好みか？」
「そういう事じゃなくて……えーっと、シリウスが、実は努力家なところとか、意地悪だけど実は優しいところとか、知ることができて良かったって、思ったの」
「そうか。そのまま俺のこと好きになってもいいんだぞ」
「またそういうことを言う……」
反応に困る。ホグズミード行きのことも不安になってきた。
ようやく図書館にたどり着き、Aは心の底からほっとした。図書館で本を開いてしまえば会話する必要がなくなる。勉強に集中すればいい。
目立たない席を選んで座ったAの隣に、シリウスがごく自然に腰を下ろしたので、Aは椅子を横にずらして距離を取った。
「逃げんなよ」
「だって近いんだもの……」
「ふーん。ちょっとは意識してんだな」
頬杖をついて余裕たっぷりに笑うシリウスの頭を、ハリセンがあったらパシンと叩いてあげたいところだ。
Aは鞄の中から教科書と英和辞書を取り出して広げ、シリウスの視線から逃れた。シリウスは不服そうだったが、「本を探してくる」と席を立った。
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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます！嬉しいです。励みになります〜！ (2020年5月10日 14時) (
レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー！ (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Helga | 作成日時：2020年5月1日 22時
