3. Look at me only.【4/9】 ページ22
「奇遇だな。オレも読みたいと思ってた本なんだ」
「シリウスのために探してたんだよ。さっきリーマスに会って、本を探すのを手伝っていたの。リーマスは用事があって先に寮に戻ったけれど」
「そうか。ありがとな」
シリウスはいつものように明るく笑って、Aの頭を軽くぽんぽんと叩くように撫でた。
これじゃあまるで、フリスビーを取ってこいと命じられ、喜んで咥えて戻ってきたのを褒められるペット犬みたいだ。それなのに、そんなに嫌な気持ちはしなかった。
「その本、シリウスが読み終わったら、私も借りてみようかな」
「読み終わったら感想教えてやるよ。荷物、どこだ？ マダム・ピンスに追い出される前に行こうぜ」
シリウスの言う通り、マダム・ピンスは閉館時刻になった瞬間二人を追い出すつもりなのか、時計をチラチラと気にしている。
Aは慌てて荷物をまとめ、マダム・ピンスにおやすみなさいと声をかけてシリウスと一緒に図書館を出た。
静かな石造りの廊下を並んで歩きながら、Aはふと疑問に思ったことを聞いてみた。
「クィディッチの練習だったんだよね？ どうして図書館に寄ったの？」
「さあな。何でだと思う？」
「意地悪。わからないから聞いたのに」
「何言ってんだ。俺は優しいだろ」
「リーマスの方が優しいよ」
何気なく言ったつもりだったのに、シリウスはピタリと口を閉じてしまった。急にシリウスが黙ってしまうと、何の話をすれば良いのか迷ってしまう。
気まずい雰囲気に、Aは視線を足元に落とした。シンと静まり返った廊下に二人分の足音が響く。
ハッフルパフ寮のすぐ近くまで来てようやく、Aはシリウスがハッフルパフ寮まで送ってくれるつもりだと気が付いた。すぐ目の前の曲がり角を曲がれば、寮の入り口の樽置き場だ。
「A」
シリウスが急に足を止めたので、Aも立ち止まった。
「な、なに？」
「来週の土曜、俺に付き合って」
「来週の土曜？ 何かあるの？」
「掲示板を見てないのか？ ホグズミードだろ」
確かに、来週の土曜日はホグズミードへの外出許可の掲示が出ていた。Aはいつも通りメアリーたちと行くつもりだったので、あまり意識していなかったのだ。
シリウスに誘われるとは思っていなかったので、Aの心臓が大きく脈を打った。
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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます！嬉しいです。励みになります〜！ (2020年5月10日 14時) (
レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー！ (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Helga | 作成日時：2020年5月1日 22時
