3. Look at me only.【1/9】 ページ19
午後の呪文学の授業で大量のレポート課題が出され、Aはかなりがっかりした。
週末はのんびり過ごすつもりでいたのに、すっかり予定が狂ってしまった。
嫌なものは早めに片付けようという事になり、メアリー、ジョン、テオと一緒に、Aは夕飯を済ませて図書館へ向かうことにした。
「メアリー、良い本見つけた?」
「ううん。これもあんまり役に立たなそう。テオはどう?」
「このページは使えそうだよ。でもこれだけじゃ足りないな。ジョン、少しは真面目にやってくれないか」
「おー……」
ジョンは分厚い本を広げているが、さっきからまったく進んでいない。半分夢の世界に入り込んでいるようだ。
Aは一人みんなから離れると、パラパラとめくっただけの本を元の棚に戻しに行き、他に参考になりそうな本が無いか探し始めた。
「コリー?」
突然聞こえた声に、Aは目を丸くした。
「リーマス……!」
「また会ったね。呪文学の課題?」
「うん。いい参考書がなかなか見つからなくて。減速呪文の杖の動かし方と速度の相関性についてなんだけど……」
「ああ、それ、僕のクラスでも一昨日出た課題だ。この本が良かったよ。良かったら読んでみて?」
リーマスは本棚の上の方に置いてあった本を抜き取り、にこっと笑って差し出した。動かない写真に収めておきたいくらい素敵な笑顔なのに、ドキドキしてしまって直視できない。
おずおずと手を伸ばし、革表紙の本を受け取って、落とさないように胸元に抱きかかえる。
「あ、ありがとう。助けてもらってばかりだね」
「いいんだ。僕が好きでやってる事だから。お節介じゃないと良いんだけど」
「そんなことないよ! すごく助かったし、とっても嬉しい!」
勢い余って声が大きくなってしまい、Aは慌てて口を閉じて司書のマダム・ピンスの様子をうかがった。
マダム・ピンスはデスクの向こうから鋭い目をAに向けたが、執行猶予をくれた。
ほっとして肩を落としたAに、リーマスは「危なかったね」と囁いた。
「ごめんなさい、騒いで……。お節介なんかじゃないって伝えたかっただけなの……」
「おかげでしっかり伝わったよ。ありがとう」
「あ、あの、リーマスも課題の資料を探しに来たの?」
「ううん。友人に頼まれた本を代わりに借りに来たんだ」
そう言ってリーマスが見せた羊皮紙の切れ端には、見覚えのある文字で本のタイトルが書いてあった。
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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります〜! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Helga | 作成日時:2020年5月1日 22時