2. I just wanna see your smile.【8/8】 ページ18
教科書の指示を確認しながら作業を進めようとしたAだったが、教科書を読むよりも、隣のシリウスの作業を見て真似する方が簡単で、ついついシリウスの手つきを観察してしまっていた。
シリウスはAの視線に気づいたようだったが、注意するどころか、Aから見えやすいように気を遣ってくれた。
授業が終わるまでに、完璧に薬を調合できたのは、シリウスとジェームズ・ポッター、リリー・エヴァンス、スリザリンのセブルス・スネイプの四人だけだった。
Aも順調ではあったのだが、時間が足りず、最後の工程までたどり着けなかった。
後片付けをしながら、Aはシリウスに訊かずにはいられなかった。
「教科書の書き込み、どうして?」
「特に意味はないけど」
シリウスは素っ気なく言って顔を逸らしたが、耳が赤くなっているのをAは発見した。照れていると考えていいのだろうか。Aはぎこちなく言ってみた。
「あの……また、見せてもらってもいい?」
シリウスはぱっと笑顔になってAの方を見た。
「もちろん、何なら毎週でも−−」
シリウスは慌てて口をつぐみ、言い添えた。
「Aが見たいって言うなら、見せてやってもいい」
もしかしたら、シリウスって、素直じゃないところもあるけれど、けっこう健気で可愛い人かもしれない……。気づいてしまって、Aは困惑した。
ローブのポケットには、リーマスにお礼としてあげるはずだったマカロンが入っている。渡すとしたら今しかないというくらい、リーマスは今、Aの近くにいる。けれど、シリウスの前でそれをする気には……なれなかった。
Aはローブのポケットからマカロンの入っている箱を取り出して、シリウスに向かって差し出した。
「お礼になるかわからないけれど、よかったらあげる」
「いいのか?」
「マグルのお菓子だけれど、美味しいの。甘いものが嫌いじゃなかったらどうぞ」
「もらう」
受け取ったシリウスは、なんだか嬉しそうなのが、見ているAにも感じられた。
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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります〜! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Helga | 作成日時:2020年5月1日 22時