2. I just wanna see your smile.【1/8】 ページ11
翌朝、Aはいつもより少しだけ早く起きて、髪の毛を編み込んでアップにし、普段より丁寧にメイクをして、ローブのポケットの中に両親が最近送ってくれたチョコレート・クリームのマカロンを忍ばせた。マグルのお菓子だが、味は確実に美味しいはずだ。
昨日メアリーが、蛙チョコレートのお礼に何かお返しをあげるのがいいとアドバイスをくれたのだ。それを理由にほんの少しでも会話ができると思うと、Aの気持ちは朝から弾むのだった。
身支度を済ませ、メアリーと一緒にハッフルパフ寮を出ると、シリウス・ブラックが廊下の壁に背中を預けて立っていた。
驚いたAが足を止めると、シリウスはAに気が付いて「よう」と声をかけてきた。Aは思わずメアリーの背中に隠れてしまった。
「何隠れてんだ」
「誰かに何か用事?」
「Aを散歩に連れて行ってやろうと思ってな」
「いらない!」
「そうか? 言っておくけど、今大広間に行ったらマイケルの取り巻きの女どもに何されるかわからないぞ。あいつ自分がやった事を棚に上げて、散々好き放題言ったらしい。俺と一緒に別の場所で朝食取った方が、利口だと思うけど?」
「コリー、私も、シリウスの言うことは一理あると思うよ。一緒に行って来たら?」
メアリーまでシリウスの肩を持ったので、Aはショックを受けたのだが、メアリーはシリウスに聞こえないよう、Aに耳打ちした。
「ちゃんとコリーの気持ち、シリウスに話した方がいいんじゃない?」
「それって――」
リーマスのことが好きだと、シリウスに話した方がいい、ということ? それをネタにからかわれそうで嫌だ、というのがAの本音だったが、メアリーに相談する暇を与えず、シリウスはAの手を引っ張って勝手に歩き始めた。
「昨日行った厨房なら、場所を覚えたから私一人で行けるよ」
「朝食時の忙しい時間に厨房に行ったら迷惑なだけだ」
「ええ? じゃあ、どこに行くの?」
「『必要の部屋』。言っておくが、誰にも教えるなよ。信頼できる人間にしか教えないことにしてるんだ」
私のことは信頼してくれているってこと? ふいに胸が震えた気がして、Aは戸惑った。こんな強引で人の話を聞かない人にときめくなんて、どうかしている。
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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります〜! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Helga | 作成日時:2020年5月1日 22時