検索窓
今日:9 hit、昨日:13 hit、合計:105,348 hit

1. Please call me Collie! 【1/10】 ページ1

父の仕事の都合で東京からロンドンに引っ越してから七年目。はじめのうちは英語がわからないし、友達はなかなかできないし、日本に帰りたいと心から思ったものだった。ロンドンのスクールでうまくいかなかった分、ふくろうが持ってきた「魔法学校」への招待状は、再スタートを切るのに丁度よいチケットだった。

 今度こそ絶対にうまくやるのだと心に決めて入学したホグワーツ魔法魔術学校で、いよいよ六年生に進級した今、Aの学校生活は、順風満帆といえた。

「コリー、大広間行こう!」

「コリー、今日の夕飯はビーフシチューらしいぞ」

「コリーの好きなプリンも出るってさ!」

 私の名前は「コリー」ではない。あだ名で呼んでもらえるのは、友情の証だ。悪い意味のあだ名ではない。でも……。

 ほんの少しの不満をぎゅっと心の奥に閉じ込めたまま、Aは苦笑いして両手を合わせ、肩をすくめた。

「ごめん。私、これから仕事なの」

「あ、監督生の? 大変だねー」

「がんばれよ〜。プリン取っておいてやろうか?」

「本当? ありがとう、嬉しい!」

「おう、まかせとけ!」

 ニッと笑ったジョンがぐしゃぐしゃとAの髪の毛をかき混ぜる。

「わー! ぼさぼさ!」

 悲鳴を上げたAの髪の毛を、メアリーが杖を一振りして綺麗に整えてくれた。

「わりーわりー」

 悪びれもなくジョンは笑い、今度はジョンの親友のテオがAに訊きいた。

「今日は何の仕事なんだ?」

「ハグリッドのお手伝い。畑にフロバーワーム(レタス食い虫)がたくさんいるから、捕まえなくちゃいけないんだって」

「ゲッ、完全に雑用じゃん」

「外寒いだろ。これ使ったら」

 テオが鞄から出したのは、ハッフルパフ・カラーのマフラーだった。

「わぁ、ありがとう! これから寮に取りに行こうと思っていたの。助かった!」

「じゃあ私は手袋を貸してあげる〜」

「え、じゃあオレは手を貸そうか?」

「ジョンはこれからクィディッチの練習でしょう?」

「コリー、そろそろ行った方がいいんじゃない? たった今、ルーピンが外へ出て行ったわよ」

「えっ、本当? 私も行かなきゃ。またあとでね!」

 いってらっしゃい、と手を振ってくれるメアリーたちに手を振って、Aも寒い夕空の下へ出て行った。

1. Please call me Collie! 【2/10】→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
113人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります〜! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Helga | 作成日時:2020年5月1日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。