1. Please call me Collie! 【1/10】 ページ1
父の仕事の都合で東京からロンドンに引っ越してから七年目。はじめのうちは英語がわからないし、友達はなかなかできないし、日本に帰りたいと心から思ったものだった。ロンドンのスクールでうまくいかなかった分、ふくろうが持ってきた「魔法学校」への招待状は、再スタートを切るのに丁度よいチケットだった。
今度こそ絶対にうまくやるのだと心に決めて入学したホグワーツ魔法魔術学校で、いよいよ六年生に進級した今、Aの学校生活は、順風満帆といえた。
「コリー、大広間行こう!」
「コリー、今日の夕飯はビーフシチューらしいぞ」
「コリーの好きなプリンも出るってさ!」
私の名前は「コリー」ではない。あだ名で呼んでもらえるのは、友情の証だ。悪い意味のあだ名ではない。でも……。
ほんの少しの不満をぎゅっと心の奥に閉じ込めたまま、Aは苦笑いして両手を合わせ、肩をすくめた。
「ごめん。私、これから仕事なの」
「あ、監督生の? 大変だねー」
「がんばれよ〜。プリン取っておいてやろうか?」
「本当? ありがとう、嬉しい!」
「おう、まかせとけ!」
ニッと笑ったジョンがぐしゃぐしゃとAの髪の毛をかき混ぜる。
「わー! ぼさぼさ!」
悲鳴を上げたAの髪の毛を、メアリーが杖を一振りして綺麗に整えてくれた。
「わりーわりー」
悪びれもなくジョンは笑い、今度はジョンの親友のテオがAに訊きいた。
「今日は何の仕事なんだ?」
「ハグリッドのお手伝い。畑にフロバーワーム(レタス食い虫)がたくさんいるから、捕まえなくちゃいけないんだって」
「ゲッ、完全に雑用じゃん」
「外寒いだろ。これ使ったら」
テオが鞄から出したのは、ハッフルパフ・カラーのマフラーだった。
「わぁ、ありがとう! これから寮に取りに行こうと思っていたの。助かった!」
「じゃあ私は手袋を貸してあげる〜」
「え、じゃあオレは手を貸そうか?」
「ジョンはこれからクィディッチの練習でしょう?」
「コリー、そろそろ行った方がいいんじゃない? たった今、ルーピンが外へ出て行ったわよ」
「えっ、本当? 私も行かなきゃ。またあとでね!」
いってらっしゃい、と手を振ってくれるメアリーたちに手を振って、Aも寒い夕空の下へ出て行った。
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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります〜! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Helga | 作成日時:2020年5月1日 22時