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藍沢「………」
何年医者をやっても目の前で一つの命が失われる瞬間を見るのには慣れない。
悔しくて、でもその気持ちをぶつける場所はなくて……
ただ悔やむだけ。
それでも容赦なくしないといけないことはたくさんある。
藤川「こっちの患者脳症を起こしてる!藍沢!見てくれ」
藍沢「分かった」
緋山「こっちの患者、解熱剤打って!」
横峯「わかりました」
常に動き回っている状態だが一向にこの状態の改善の糸口が見つからない。
どうしたらいいのか、この患者たちが苦しんでいるのはなんという病気なのかそれすらもわからない。
どうすれば……
そう頭を抱えながらも必死にてを動かしていると初療室に橘先生が戻ってきた。
藍沢「橘先生!分かりましたか?病名」
そう聞くと悔しそうに首を横に振る橘先生。
橘「今まで扱った症例を全部目を通したが見つからなかった。白石たちが今も医局で病名を究明しようとしてくれている」
藍沢「……そうですか」
橘「どうだ?そっちは……」
藍沢「先ほど一人……亡くなられました……」
そう告げると「そうか」ときわめて冷静な返事が返ってきたが橘先生の顔には悔しそうな、苦しそうな表情が浮かんでいた。
病名が分からないのでは治療法は完全に手さぐりになる。
いまのところ熱の高い患者は解熱剤を打ったり、冷やしたり、脳症の患者もなんとか治療を施して様子を見ているが一向に改善される気配がない。
それでも手を止める訳にはいかないため頭をフル回転させながら必死に手を動かす。
藤川「こっちの患者、比較的落ち着いた。運んでくれ」
横峯「分かりました」
緋山「名取!この患者も運んで」
名取「はい」
処置を開始して約2時間。
比較的症状が改善した患者もいれば、昏睡状態に陥った患者もいる。
7人運ばれてきた中、救えたのは6人。
けどその6人も油断できない状態。
いつ急変してもおかしくない。
そんな6人は感染症が疑われるため隔離された部屋で経過を見ることになった。
患者を全員運び終えて、着替えるとそのころにはもう4時間が経っていてずっと動き回っていたため疲労困憊。
全員感染しないように手洗いなどを徹底して医局に戻ると白石や灰谷たちが机に資料を広げて治療方法を探してくれていた。
白石「お疲れ様」
緋山「ほんと、お疲れよ。7人よ!7人!」
藍沢「治療法見つかったか?」
疲れたと連呼する緋山は放っておいて治療法について白石に尋ねる。
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明日香 - ぱやさん» コメントありがとうございます!応援してくださり、本当に嬉しいです。なるべく早く完結させられるように頑張ります。 (2019年9月15日 18時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
ぱや - 新型感染症シリーズ続き楽しみすぎて眠れません((o(´∀`)o))応援してまっっす!! (2019年9月8日 21時) (レス) id: c24ed78064 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 愛子さん» ありがたいことに、たくさんの方からリクエストをいただいていますが、遅くなってしまって宜しければリクエストは受け付けています。 (2019年9月8日 14時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - 今リクエストたまってますか? (2019年9月7日 12時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - ぱやさん» コメントありがとうございます。夏休みにもかかわらず中々更新できず、すみません。更新可能な日は更新しますので楽しみにしていてください! (2019年8月16日 16時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
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