人には人を、妖には妖を (ページ14)

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ねずみページ14

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『ねずみ、何をしておる』

「げげっ、Aじゃねぇか」

『ゴミ捨て場なんぞ漁って恥ずかしくないのか』

「生憎金もねぇ俺はゴミ捨て場で食える飯探してんだよ
あーあどっかの優しいお狐様が飯でも食わせてくれりゃいいんだがな〜」

『ふふん。そんな可哀想なお主に朗報じゃ、飯を食いに行くぞ』

「マジかよ！！神様仏様A様〜！！」

相変わらず薄汚いおべべにゴミ捨て場で飯漁り、見てられんわ

依頼人からお礼としてラーメン屋の無料券を貰うという臨時収入を得たためこうしてこの男に分けてやっておるのだ

『お主、最近はどうなんじゃ』

「どうったって…昔となーんも変わっちゃいねぇよ」

『まだ人間たちを騙しとるか』

「馬鹿言え、人間たちが勝手に俺を信じてんのさ」

『そうか』

麺を啜りながら他愛のない会話に花を咲かす

そう言えば、こいつと出会ってからも随分経つのぉ

『お主と会ってから幾つ年が経つ？』

「んな事覚えてねぇよ」

『だろうな、お主がそういうことに疎いのは知っとる』

「…ま、あの日から70年近く経ったってことは覚えてるぜ」

『…それは同感じゃ、あの日のことはきっと一生忘れん』

あの日、この男もあの場にいた
どこまでも醜い人間の恨みやら何やらを見ている

『あの日々を夢と思いたかった、じゃが現実だった』

「お前が気に病むことじゃねぇよ、俺らがいてもいなくても結果は変わってない」

『なら尚更、わしはなにか出来たかもしれないと
そう思うと夜も眠れない、あの家で眠れなくなるんじゃよ』

たまに見る悪夢はあの日々のこと

何もできなかったわしに皆が罵詈雑言を浴びせてくる
わしのせいだと、皆指をさして言ってくる

『お主といるときだけは、気が楽だ』

「はっ、告白かよ」

『わしはそれでも構わんぞ』

「よせやい、寒気がするぜ」

『お主も愛を知るべきじゃったな』

「そんなもん必要ねえっての」

『安心せい、わしも鬼太郎もお主のことを愛しておる
それだけは忘れるでないぞ』

「年寄りの戯言には付き合いきれねぇな」

ごちそーさん、といってねずみは先に出て行った
全く、行儀のなってないやつめ

『しかしまぁ、それがあいつの良いところか』

知らぬ間に入れられていたチャーシュー2枚を見て、笑みを零さずにはいられなかった