義母 ページ12
【鬼太郎視点】
『そうじゃ鬼太郎、今日は親父もおらん
このまま外食としよう』
「いいのか？」
『構わん構わん』
連れていかれたのは和食のお店
店に入ればいい匂いが食欲を掻き立てた
『好きなものを頼みなさい』
「ありがとう」
『良い良い、子供に飯を食わすのは母親の務めじゃ』
「そう、か」
九尾と2人きりなのは何年ぶりだろうか
いつも父さんやらねずみ男やら誰かしらいたから、少しだけ緊張する
『…最近はどうなんだ』
「どうって、言われても」
『ごめんごめん…
あぁ、そうだ。人間の娘…まな、とはどうだ？』
「危なっかしい。けど今は友達だ」
『そうか、ならよかった』
運ばれてきた料理を食べながら、他愛のない会話をする
「Aはどうなんだ？」
『わしか？わしは昔から変わらずじゃよ』
「最近家にいないのは？」
『それは、まぁ…色々と』
濁されているのが気に食わない
僕らは家族なのに
「…貴方にも話したくないことがあるのは分かっている
けど僕らは家族だろう、少しくらい話してくれたっていいじゃないか」
『家族、か…そうじゃな』
持っていた箸を置いて、九尾は僕に視線を向けた
『昨晩の話は、覚えておるか？』
「…家を出てこうと来てる話か？」
『あぁ、あれの新居探しじゃよ』
「僕は許さないと言っている」
『うむ、じゃから暫くは延期じゃ』
僕が拒まないとこの人は出ていこうとするのか
そんなの、
「嫌です」
『…』
「貴方が離れていくのは嫌です
僕には、あなたが必要なんです」
『そう言ってくれるうちはありがたいのぉ』
「僕は本気だ！
貴方と血は繋がっていない！種族も違う！それでも貴方は僕の母親だ！だから」
『鬼太郎』
正気に戻り彼女の顔を見る
酷く悲しそうな顔をしていた
『ありがとう、お前が必要としてくれるのは嬉しい
じゃが、わしはお主の母親じゃない。じゃからせめて、お主と入れるうちはわしのことを母親と思っていてくれ』
「…そんなに僕の母親でいるのが嫌なのか？」
『それは断じて違う、わしが愛した人の子じゃ
誰よりも愛おしく愛している』
そういって彼女はご飯を食べだした
やはり何を考えているか分からない
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作者名：綾鷹 | 作成日時：2024年1月3日 22時
