七話 写真の女 ページ8
少し街の中心から外れた細道を、大柄な男3人が歩いていた。
その手には踊り子の衣装に身を包んだ美しい女が写された写真がある。
『ねぇ、お兄さん達、私に何かご用？』
突如背後から聞こえた、よく通る綺麗な声に、男達は勢いよく振り返った。
するとそこには写真と服装は違えど男達の探している女がいた。
「まさかそっちから来てくれるとはなぁ？手間が省けたぜ」
『…目的は？人攫い？それとももっと別？』
「この商売を長くやってるが、おまえさんほどの上玉はなかなか出会えねぇからなぁ？悪いが捕まってくれ！」
『人攫いね。なら用はないの、さようなら』
勢いよく飛びかかってくる男達を、女は糸も容易く避けてみせた。
そしてその背後に回り込み、軽く男の肩を叩いた。
「！？」
『動けなくて驚いた？大丈夫よ、1時間もすれば元通り動けるようになる。まぁその時にはお兄さん達は海軍のご厄介になってるだろうけど』
「てめぇ…！」
飛びかかってくる他2人もあっという間に地面に転がることになった。
『でもその前に』
女は意識のある男に近づき冷たく見下ろす。
その紫色の瞳には何も映していない。
『写真は誰から貰ったの？』
「ヒッ…し、知らねぇよ！拾ったんだ！」
『そう』
女は上着のポケットから電伝虫を取り出し何処かへかける。
『あ、もしもしスモちゃん？1時間以内に回収に来てほしい人達がいるんだけど頼める？』
ス【…てめぇ…そのふざけた呼び方するヤツは俺の知ってる限り何処ぞのバカしかいねぇんだが…Aなのか？】
『バカではないけどAだよ。そりゃ私の電伝虫だし』
ス【A！どういうつもりか知らねぇが早く帰ってこい！クザンの機嫌が悪すぎて手におえねぇだろ！】
『クザンの気分屋はいつものことでしょ？私は帰らないよ。海軍でもない17歳の女の子が居座ってる方がおかしな話だよ』
ス【反抗期も大概にしろ！もしおまえが生きてることが世間に知られでもすれば…！】
『大丈夫だよ。自分の命惜しさに力を使ったりしないから。じゃあ、あとよろしくね！』
ガチャッ
『…じゃあ、少しそのままでいてね。迎えが来るから』
女はそう言うと元来た道を歩き始める。
その背中は先程男達を一網打尽にしたとは思えない、17歳の少女の小さな、そして何処か寂しそうな、そんな背中だった。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (2023年4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (2023年4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
