六話 どうして ページ41
『聞こえませんでしたか？そんなにお金が沢山おありなのでしたら、そのお金を困っている人のためにお使いになられてはどうでしょう？』
あーあ、言っちゃった。
目の前の男は口をあんぐり開けてるし、女の子も真っ青な顔で私を見てるし、通行人達も足を止めてみんなして私を見ている。
「あの子ッ…もう終わりだわ…！」
「公爵家の御子息に何という無礼をッ！」
…もしかして相当やばい状況なのかも。
「この女…ッ」
男が私に向かって手を振り上げる。
…仕方ないよね。
正当防衛だから許してくれるでしょ？ドフラミンゴ。
『え…』
私がこの忌々しい覇気を放とうとしたその瞬間だった。
目の前の男が真っ二つになり、足元に転がったのだ。
少女は腰を抜かし後退り、通行人達も悲鳴をあげている。
そんな騒ぎの中、こちらへ近寄ってくる足音が一つ。
足音は私の目の前で止まる。
その瞬間、周りの音が全て消えたような、そんな感覚に襲われた。
「この世界は綺麗事が通用する程、甘くねェ。世間知らずの小娘は家で大人しくしてろ」
どうしてだろう。
ドフラミンゴから見た目の特徴は教えてもらわなかった。
相手はフードのあるマントを深く被っていて顔も見えないのに、どうしてだろうか。
『貴方が…トラファルガー・ロー？』
男は足を止め、こちらをゆっくりと振り返った。
ロ「…ただの小娘という訳じゃねぇみたいだな。場所を移す」
『ッちょっと待って！』
男が右手を出した時、何かが起こる気がして、その前に女の子の方へ駆け寄った。
『これ、よかったら役立てて』
「え…」
『じゃあね。お嬢ちゃんはまだまだこれからだから、諦めちゃダメだよ。世界は広いんだから』
私は女の子に持っていた宝石の一部を渡し、歩き出した。
宝石、金、腐るほど手に入れてきた。
任務の対象はそういう奴等ばかりだし。
でも、私にはこんな宝石なんて何の価値もない。
本当に欲しいモノはきっともっと別のもの。
「待って！お姉ちゃん！どうして？どうして初めて会った私にこんな…ッ」
女の子の声が背後から聞こえる。
どうして、か…。
どうしてかな。
この5年間、多くの命を奪ってきたこの手で、イイコトでもしたくなったのかな。
いや、そんな事はない。
このチカラを持って生まれた時点で、良い人生なんて望めないことは分かっていた。
私は暗闇でしか生きていけないのだから。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (2023年4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (2023年4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
