四話 愛されたい ページ39
散らかった部屋に背を向けて、私は窓を開けた。
勢いよく風が吹き込み、空色のカーテンがひらひら揺れた。
窓から見える雲一つない青空と何処までも続く広大な海に、目を背けたくなる。
私は窓に腰掛けながら、先程ドフラミンゴから聞いた話を思い出していた。
神様のイタズラって本当にあるんだなー。
私は両親を知らずに育った。
母は、まだ生まれてまもない私を置いて海へ出て行ったきり帰って来なかったと聞いた。
若い女で世間知らずな所があったから、手に負えず捨てたのだろう、と。
モヤがかかって顔も声も思い出せないけど、誰かがそんなことを言っていたのは何となく覚えている。
ドフラミンゴは母と面識があった、というより、もっと深く母を理解していたようだ。
母はドフラミンゴの弟で、海兵である男と恋に落ち、そこに生まれたのが私だという。
そして彼は言った。
私の父と母が死んだのはトラファルガー・ローという男のせいだ、と。
詳細は教えてくれなかったが、その男がいなければ私は今も二人と一緒に暮らせていたのかもしれないと思った。
ーー「かわいそうに。他人の子のために実の子なのに捨てられたんですって、この子」
あれ…こんな言葉、誰に言われたんだっけ…？
トラファルガー・ロー。
貴方は父さんと母さんに愛してもらってたのかな。
だから私を置いて貴方を選んだんでしょ？
そのせいで死んじゃったなんて聞いて、私はどうすればいいのかな。
自分を捨てた両親のために貴方を憎めばいい？
ーー「オマエはいらない子だったんだよ！そんなこともわかんねぇのか？」
この言葉も、いつ、誰に言われたのか思い出せない。
私は何のために生まれてきたのだろうか。
こんなバケモノのような力を持って生まれて、傷つけて、壊すことでしか自分の価値を見出せないでいる。
ねぇ、トラファルガー・ロー。
貴方は今幸せなのかな…
『羨ましいな…』
私の言葉は風に乗って消えた。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (2023年4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (2023年4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
