二話 忘れられない名前 ページ37
少女は何も考えられなかった。
自分は愛されていると思っていた。
でも、そうではなかったのだ。
彼らにとって少女はただの商品にすぎなかった。
それだけでも少女の心を壊すには十分だったが、自分が知らず知らずのうちに人殺しができる力を有していることに、少女は酷い絶望感を覚えたのだ。
「聞こえなかったかァ？名前は何だと聞いた」
少しトークの下がったドフラミンゴの声に少女はゆっくりと顔を上げた。
少女はこんなにも強大な力を持っている恐ろしい存在のはずなのに、今にも壊れてしまいそうな目をしていた。
ドフラミンゴはその目を見たことがあった。
かつて自分が心から愛した女を思い出していた。
彼女は過酷な幼少期を過ごしたにもかかわらず、優しく明るい性格で、その美しい容姿も相まって多くの人を虜にした。
ドフラミンゴもその一人だった。
だが、いつも希望を失わなかった彼女が一度だけ、目の前の少女と同じような目になったことがあった。
それはドフラミンゴが自らの手で実の弟、彼女の恋人を殺した時。
ーー「ドフィ！」
彼女の愛らしい笑顔と声が蘇ってきてはドフラミンゴの頭の中で消えた。
ド「A」
聞き慣れない名前に少女は眉を少し顰めた。
ド「そこのクズどもに与えられた名前は今日で捨てろ。オマエの名前はAだ」
『…私をどうする気なの…？』
ド「オマエの覇気は政府や海軍にとったら消しときたい程危険なものだ。逆にその力を利用しようとする奴等も五万といる」
少女の美しい紫色の目がドフラミンゴを写した。
ド「ここで海軍が来るのを待って処刑されるのと、俺と来るか、選べ」
この時のドフラミンゴの言葉に、少女は縋る思いだった。
『お願いします。私を連れて行って』
少女の透き通るようなその声を合図に、ドフラミンゴは少女を抱えて空へと消えて行った。
後に残ったのは、もう二度と口をきくことがない死体だけだった。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (2023年4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (2023年4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
