第二章 過去編 プロローグ ページ35
ーー15年前ーー
ここは自然豊かな島。
住民は畑を耕したり、店を営んだり、裕福とは言えないが自由な生活をおくっていた。
町の人達のほとんどは老人だったが、数少ない子どもの中に、まるでお人形のように可愛らしい女の子がいた。
『おばさまー！見て見て！』
白いワンピースを着たその少女は、柔らかくウェーブのある金髪に、宝石のように神秘的な紫色の目、血色の良い上品な唇、雪のように美しい白い肌を持っていた。
「ふふふっ、〇〇はいつも元気ね？そのワンピースは花屋の奥さんから？」
少女の記憶の中でも、彼女は昔呼ばれていた名を思い出せなかった。
そして少女が嬉しそうに笑顔を向ける、少女がおばさまと呼ぶ女の顔も、少女は思い出せない。
いや、思い出さないようにしているのかもしれない。
『そうなの！どう、似合う？』
少女は花が咲いたように笑うと、くるくるワンピースをひらつかせて回る。
「とても似合ってるわ。私の可愛い〇〇」
女は少女の頭を優しく撫でると、壁にかかった時計をちらっと見た。
「〇〇、もうすぐお客様がお越しになるから外で遊んできなさい？」
『お客様？今日はお店休みでしょ？』
「特別なお客様なのよ。さぁ、いってらっしゃいな」
少女は女に施されるままに店を出た。
少女が向かったのは広大な花畑だった。
美しい花々が咲き誇るこの地は、町の中心からは外れており、人はほとんど訪れない。
少女にとって秘密基地のような場所だった。
少女は歌を歌いながら花畑を歩く。
透き通るその歌声に答えるように、花々が風に揺れる。
少女は歌に夢中になり、どんどん丘を上がっていった。
いつもは行かないところまで少女は進んでいった。
『あれは…家？』
少女の目の前に現れたのは古びた小さな家だった。
少女が扉をノックしても中から生き物の気配はない。
少女は躊躇いながらも扉に手をかける。
木の扉は軋む音をさせながらゆっくり開く。
中はいたる所に蜘蛛の巣がかかっており、テーブルや椅子には埃が積もっていた。
『住んでいた人達は何処へ行ったんだろ…』
辺りを見渡しながら少女は奥へ奥へと進んでいった。
『本が沢山』
机に積み上げられた本の山に、少女は感嘆の声を漏らした。
少女は一番上に積まれた一冊を手に取り、中をペラペラとめくってみた。
『何これ、医学書？お医者さんが住んでた家なのかな？』
読み込まれた跡が見て取れる医学書を、少女は丁寧に閉じた。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (2023年4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (2023年4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
