三十二話 涙の止め方 ページ33
エース引き渡しの数分後ーー
ティ「ゼハハハハ！まさか女だとはなァ！」
黒ひげの船内では支柱に縛り付けられた手負の女が一人。
深く被っていた帽子はなく、癖のある金髪が肩まで伸びていた。
纏っていた男物の衣類は大きくはだけており、雪のような白い肌が露わになっていた。
ティ「オイオイだんまりかよォ！見たことねぇ顔だが、一般人ではなさそうだもんなァ？」
『…七武海の称号がそんなに欲しいか』
ティ「別に七武海は只の通過点にすぎねぇ！これからさァ！俺の時代はよぉ！」
ティーチはAの前にドカンと腰を下ろす。
ティ「俺を蹴った時、たしかにオマエは覇気を使ったようだが、あれが本気だったのかァ？」
『ッ…何が言いたいッ！』
ティ「何がオマエのストッパーになってるかは知らねぇが、勿体ないぜ？俺の仲間になれば、その力を好きなだけ使える！本当は壊し足りなくてうずうずして『黙れ！』
Aはいつもの冷静さを失い、ティーチの言葉を遮った。
ティ「ゼハハハハ！やっぱり訳ありか！」
ティーチは笑いながら立ち上がると扉の方へ歩いていく。
一人取り残されたAはぼんやりと天井を眺めていた。
ーーー
Aside
ーーティ「あれは本気だったのかァ？」
ティーチに言われた言葉が頭から消えない。
本気じゃなかった。
そうしないと殺してしまっていた。
でも、そのせいでエースは捕まってしまった。
殺すべきだった？
エースを助けるためなら必要な犠牲だった？
また私は間違ったの？
あぁ、やっぱり私は何も守れない。
この壊すだけの力では何も…
5年も、海軍に身を置いてきた。
もうずっとこのまま、安全な場所で生きていくのかと思ってた。
でも…ローの手配書を見た時、どうしようもなく思ってしまった。
一度でいいから彼に会いたいって。
久しぶりに会ったローは私のことを全く覚えていなかった。
成功したんだと思った。
ローは私に縛られず、自由に生きていける。
素敵な仲間と一緒に、色々な場所を見て回って、いつか貴方にお似合いな可愛い女の子と幸せになれるの…
それは私が望んでいたことのはずだ。
それなのに醜い感情が溢れる自分が嫌だった。
クザンを自由にしたかった。
だから私は広い広い大海原に飛び出したんだ。
一人で生きると決めたのに、エースの優しさに甘えてしまった。
こんな私を受け入れてくれたエースさえも、私は守れなかったんだ。
私は絶えず流れる涙の止め方を知らない。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (2023年4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (2023年4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
