十一話 幸せを願う ページ12
ローside
べ「キャプテーン！ねぇキャプテンってば！」
ロ「あ？」
べ「また考えこと？最近多いね」
ベポに言われ我に返ったが、すぐにまたシャボンディ諸島での出来事を考えた。
ーー
ロ「女の知り合いはいねぇ。何者だ」
目の前に突如現れた女は何も言わず、俺をじっと見つめるだけだ。
こんな目立つ容姿の奴、一度見たら忘れるはずねぇ。
『んー難しいな。なんて自己紹介すればいいのか』
ロ「…裏社会の住人か」
『そんなに悪人面かな、私』
ロ「おい、俺は暇じゃねぇ。用がねぇなら行く」
『ねぇ』
女の横を通り過ぎようとした時、女は俺を呼び止めた。
小柄で横に並ぶと余計小さく見えるその女の目に吸い込まれそうになる。
『君は今幸せ？』
ロ「…何が言いたい」
ぺ「キャプテーーン！！」
向こうからペンギン達の声が聞こえてくる。
『ふふっ、賑やかだね』
ロ「俺の質問に答えろ。てめぇは何者で、目的は何だ」
『A』
ロ「！？」
『私の名前』
女が発した名前に俺は心臓を掴まれたような気になった。
ーー「ロー、貴方のこの手で、これから何人もの人の命を救っていくんでしょうね」
ーー「今が辛い分、きっとこれからは幸せが沢山待ってる。生きててよかったって、そう思える日がきっと訪れる」
ガキの頃のあの時の出来事がまるで昨日のことのように思い出される。
ーー「だからロー、憎しみに囚われないで。貴方には自由に生きてほしい、ロシィも私もそう思ってるわ」
A…コラさん…俺はまだ、あの頃から進めちゃいねぇんだな。
『そろそろ行くね。あんまり遅いと保護者がうるさいから』
Aと名乗った女の声で我に還る。
『…ねぇ、進めないんだけど』
気がつくと俺は女の腕を掴んでいた。
ロ「答えろ。オマエは俺を知っているようだが、俺は今日初めてオマエを知った。それが気持ち悪くてしかたねぇ」
『…そう。でもそんなことはよくあることでしょ？貴方は注目のルーキーよ？』
ロ「それだけじゃないはずだ」
『それだけだよ』
ロ「じゃあ何故泣く」
『へ…？』
女の紫色の瞳から止めどなくこぼれ落ちる涙が意味するものを俺は分からない。
スルッと彼女の細い腕が俺の手からすり抜ける。
『別に、色々思い出しちゃっただけ。貴方には関係ない』
ロ「おい！」
『じゃあね、ロー。どうか幸せになってね』
そう笑って女は俺に背を向けて歩き始め、二度と振り返らなかった。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (2023年4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (2023年4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
