二十四話 別れ ページ25
『でもね、誰が親だろうとエースはエースだよ。親が偉い人だからってその子どもが偉くなるわけじゃない。人生は自分で作るものだもの。家柄とか身分とか、そういうのよりも、その人がどう生きるかが大切なの。だからエースのお父さんの話を聞いても、私にとってエースは優しくて太陽みたいな大食い男だね』
エ「…ッ…最後のはいらねぇだろ…」
『え、そう？』
エ「…ありがとな…A」
俺は無意識にAを抱きしめていた。
『エース…ちょっと苦しい…』
エ「ッ！わりぃ！ついッ！」
『ハハッ！エース真っ赤だー』
エ「う、うるせーー！！」
俺はいらずらっぽく笑うAを見て、心に芽生え始めた感情に気づかないフリをした。
俺にはやらなきゃならないことがある。
Aとはここでお別れだ。
俺は一度離れた彼女の身体を、ゆっくり引き寄せた。
『エース…？どうしたの？』
耳元で心配そうなAの声が聞こえる。
エ「わりぃ…少しだけこのままでいてくれないか？」
『うん…』
Aは頷くと、俺の頭をそっと撫でてくれた。
ーーー
どのくらい時間が経っただろうか。
お互い何も喋らず、外の音しか聞こえない。
『エース』
するとAの透き通るような声が部屋に響いた。
『私の話も、聞いてくれないかな…？』
エ「A…無理することはねぇぞ？」
『ううん、私もエースには知ってほしいの。私のこと、ちゃんと知ってる人はすごく少ない。自分から話すのはエースが初めて。引き受けてくれる？』
明るい声色なのに、何処か震えるようなAの声に、俺は黙って頷き、彼女の長い長い物語を聞いた。
ーーー
『じゃあ、気をつけてね。エース』
エ「あぁ、Aもな」
早朝、誰もいない港でお別れの握手を交わした。
Aはもう少しこの町で物資を調達してから出発するとのことだから、ここでお別れだ。
あまりぐずぐずしてると余計に離れ難くなりそうだったから、俺は早々にストライカーに乗り込んだ。
港に立つAを振り返る。
エ「次会った時はストライカーに乗せてやるから、楽しみにしとけよ！」
『！！…楽しみにしてるよ、ありがとう、エース』
優しく笑うAの金髪に朝日が当たり、キラキラと輝いていた。
そんな彼女に背を向けて、俺は目的の島へと向かった。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (2023年4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (2023年4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
