三十六話 訪問 ページ37
ド「逃げられねぇことはねぇだろ。アイツらじゃ俺には勝てねぇ。それはアイツらもよく理解しているはずだ。」
Aの表情は依然として晴れない。
『ドフラミンゴ様がお強いことは、私を含めここにいる人全員が知っています。ですが、彼等は私を離しません。私は、誰かが私のせいで傷つく姿を見たくない。私が我慢さえすればッ…』
俺はAの震える小さな身体を抱きしめた。
ド「オマエは何も気にしなくていい。今夜オマエんとこのご主人と話をつける。心配するな、殺しやしねぇさ。」
それでもAは相変わらず不安げな表情だったが、俺には関係なかった。
Aの額に軽く口づけをすると、すぐ真っ赤になった姿に満足して、俺はAの部屋を後にした。
夜になり、また裏カジノを訪れた。
Aに会う時はAの部屋の窓から入るが、今回はあの男に用があるから正面から入る。
ド「おい、オーナーを連れて来い。話がしたい。」
近くにいたボーイを呼び止めると、びくつきながら少し後ずさる。
「ッ…オ、オーナーは手が離せないようでして…」
ド「待とう。その間Aと話をさせろ」
俺がAの名前を出すとボーイはあからさまに都合の悪いような顔をした。
ド「聞こえなかったか？オーナーの用とやらが終わるまで待つ。代わりにここにAを呼んでこい。」
「そ、それが、Aはしばらく誰とも面会できないようで…どうも体調を崩したみたいで…」
ド「昼間会った時は元気そうだったぜ？」
「お、おそらくドフラミンゴ様とお会いした際は気丈に振る舞っていたのでしょう…！と、とにかく今日はお引き取りを！」
明らかに焦った様子で俺を帰そうとする。
俺はボーイの首を掴み軽々と持ち上げた。
ド「そんなこと言われて俺がみすみす引き下がるとでも思ったか？ここいる奴等全員殺してから探しに行ってもいいんだ。言え、オーナーは何処にいる」
会場はシーンと静まりかえっていた。
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作者名：もえぎ | 作成日時：2022年11月3日 19時
