【ONE PIECE】運命に抗って (ページ33)

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三十二話　歩み寄りページ33

『コラソン！』

皆とは少し離れて日陰でタバコを吸っているロシィが見えた。

私が駆け寄ると、ロシィがその場で転んだ。

『コラソン大丈夫！？』

彼の腕を持って起こそうとすると、距離をとられた。

『え…コラソン？』

ロ「コラソンのやつ、Aの水着姿が綺麗すぎて直視できないんだろ！ダサい大人だなぁ」

彼に拒絶されたことがショックで固まっていると、ローが横から口を挟んできた。

それだけ言うとまた皆の輪の方へ戻っていく。

すごくしっかりしてるけど、そういう所は子どもらしくて可愛い。

ロシィはというと耳まで真っ赤になっていた。

『ふふふ、コラソンったら初心なのね』

【Aまで揶揄わないでくれ】

『コラソンも泳がないの？プールの水は大丈夫でしょ？』

【俺はインドアなんだ Aこそ泳がないのか】

『私はいいの。昔から泳ぎは得意じゃないの』

【そうなのか】

賑やかな声が聞こえる。

ローがここに来てから皆で旅行に来たのは今回が初めてだった。

前とは全然違う風に変わっている。

このまま…全部良い方向へ変わってくれないかな。

なんて都合の良いことばかり考えてしまう。

私がオペオペの実を手に入れることで、考えられるリスクは全て摘むことができるが、問題はどうやって手に入れるかだった。

私は戦う力もないし、第一、ドフィの情報網を掻い潜って、ドフィよりも先にオペオペの実を手に入れることが果たして可能なのか。

私は頭を悩ませていた。

【A】

私の名前が書かれた紙が風で揺れる。

【ローの言う通りだ振り払ってすまなかった】

わざわざ謝ってくれるところもロシィらしくて思わず笑みが溢れる。

『ねぇ、コラソン』

あの時、何故ドフィがロシィを撃とうとしたのか。

私は何も教えられていなかった。

ある日突然、何のお別れもなしにローを連れて出ていったロシィ。

それを知った時はしばらく二人に会えないことがすごく悲しかったけど、ローの病気が治るという期待の方が大きかった。

でも、結局病気を治す唯一の頼みの綱はオペオペの実になった。

たったそれだけ、それだけしか私は知らない。

ドフィも、ロシィも、最期まで何も私に話してくれなかった。

それはきっと私が弱かったから。

歩み寄ろうとしなかったから。

大切なものを作るのが怖かったから。

『見ててね』

ロシィの綺麗な赤い目を見据える。

少しずつ、貴方達のことを知って行こう。

たとえそれが辛い真実であっても。