三十一話 水着 ページ32
べ「Aお姉様ー！早くー！」
なかなか更衣室から出てこない私をベビー5が呼ぶ声が聞こえる。
べ「ねぇお姉様ってばー！」
『わ、分かってるから！』
急いで返事をして、自分の姿を見る。
淡い水色の水着を着た自分。
普段、露出をほとんどしない私には恥ずかしすぎた。
『や、やっぱり私泳がないから普通の服でも…』
べ「ダメだよ！せっかく来たんだよ？やっぱりリゾートは水着だよお姉様！ほらっ行くよ！」
『きゃっベビー5！私恥ずかしいの！こんな姿ドフィたちに見られたら ド「見られたらどうなんだ？A」
ベビー5に半ば無理やり手を引っ張られて外に出ると、すぐにドフィの声が降ってきた。
見ると上半身裸のドフィが壁にもたれかかりながら私を見ている。
ド「…貸切にして正解だったな」
『やっぱり見苦しいわよね』
ド「そういう意味じゃねぇよ」
私がそう言うと、ドフィは真顔でつっこんでくるし、ベビー5まで呆れた顔で見てきた。
ド「ベビー5、向こうでバッファローたちと遊んでこい」
繋がれていた手がスルっと離れ、可愛い水着を着た女の子が向こうの方に小さく見える皆の方へ走っていった。
その様子を見届けると、ドフィが私の方へ近寄ってきた。
ド「A、オマエはもっと自分の美しさを自覚する必要があるな」
『…私、やっぱり着替えて…』
ドンッ
私が更衣室の方へ歩き出そうとすると、ドフィに行く手を阻まれた。
背中には壁、顔の横にはドフィの腕、目の前には筋肉質の身体がある。
状況を理解し、顔が熱くなる。
『…！ドフィ！』
ド「何だその顔は、煽るんじゃねぇよ」
『やっ…やめてドフィっ』
ドフィは私の耳元に顔を近づけ、ペロリと舐めてきた。
ド「フフフフフフッ、オマエは本当に耳が弱ぇなぁ」
『揶揄わないで！』
ド「揶揄っちゃいねぇぜ？オマエが可愛すぎるのが悪い」
『…っ！』
鎖骨辺りにチクッと痛みを感じ顔を顰めた。
ド「フフフフフフッ、オマエの白い肌には目立つな」
ドフィはニヤニヤしながら私を解放し、皆のいる方へ歩いていく。
ド「行くぞ、A。オマエとベビー5のために計画した家族旅行だ、楽しもうぜ」
倉庫でベビー5とした約束。
私が安静にしている時にベビー5がドフィに話したそうだ。
ローの許可がおりて晴れて自由になった私に、ドフィが皆で旅行しようと誘ってくれた。
嬉しかった。
思い出すと自然と頬が緩む。
私も彼の背中を追いかけた。
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作者名：もえぎ | 作成日時：2022年11月3日 19時
