二十九話 朝日 ページ30
私たちの間を朝の冷たい風が通り抜ける。
ロシィの金色の髪が朝日に照らされてとても綺麗だった。
何も喋らない私の頭をロシィはずっと優しく撫でてくれている。
もし、全部話してしまえたら、楽になれるのかもしれない。
『コラソン』
コ「何だ？」
優しい目で私の次の言葉を待ってくれているロシィ。
ドジで泣き虫で、笑っちゃうくらい優しいロシィ。
きっと貴方なら、全部受け止めてくれると思う。
『もう少し、待っててほしいの。その時は私の長いお話、聞いてくれる？』
でも、まだ話せない。
ロシィ、貴方の優しさに甘えてしまう私を、どうか許してね。
いつか、全部上手くいって、悪い夢を見たんだって、笑いながら話せるように。
コ「あぁ、わかった！約束だぞ！」
そう言ってニカっと笑いながら、ロシィは小指を立てた。
『…？』
私が首を傾げていると、ロシィがそれを私の小指に絡ませた。
コ「約束をする時はこうやるんだ。これで破れなくなったぞ」
『そんなものがあるのね…やっぱりコラソンは物知りね』
コ「それから、A」
先程の笑顔は消え、悲しそうな顔で言う。
コ「二度と自分を犠牲にするようなことはしないと約束してくれ。俺はAの代わりに助かっても嬉しくない。頼むからもっと自分を大事にしてくれ」
私はロシィと絡まった小指を解く。
『悪いけど、コラソン、それは約束できないわ。貴方が犠牲になるくらいなら私がっ コ「A」
ロシィは力強く私の手を握る。
コ「約束する。Aよりも強くなる。そしたらAが俺を守らなくても済むだろ？」
『私、強くない…』
コ「オマエは強いよ、A。眩しいくらいにな」
そしてまたお互いの小指を絡ませた。
コ「だからAも約束してくれ。自分を大切にするって。」
『…うん、尽力するわ』
何だかロシィに私の考えを見透かされてるよう。
コ「さぁ！そろそろ戻ろう、今日の朝飯は何を作るつもりだ、一流シェフ」
手が離れ、ロシィが歩き出す。
そして私も朝日に照らされる彼の背中を追いかけた。
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作者名：もえぎ | 作成日時：2022年11月3日 19時
