【ONE PIECE】運命に抗って (ページ26)

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二十五話　決めたのページ26

コ「…テメェ！！やめろ！」

「どうだ？好きな女が他の男のモノになる気持ちはよ！」

『やだっ！ロシナンテ、見ないで…』

女の子は大きな青い目から大粒の涙を零す。

「いいなぁその表情、もっと泣かせたくなるぜ？」

男は女の子の涙を舐め、太ももにある手をさらに上に移動させようとする。

シュパッ

一瞬の出来事だった。先程までニタニタと笑みを浮かべていた男は原型をとどめていなかった。

それからは早かった。

その場で生きていたのは、男と女の子とピンクのファーコートを羽織った血まみれの大男だけになった。

ド「A、コラソン、帰るぞ」

大男は女の子の方を見ず、出口へと歩き出した。

男も何も喋らずに、小さな身体を震わせる女の子を支えて大男の後を追う。

ド「A」

大男が血まみれの手を女の子に伸ばす。

『…！』

女の子はビクッと身体を揺らした。

ド「俺が怖いか？」

そう尋ねる大男の顔はとても悲しそうだった。

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目を開けると見慣れない天井だった。

でもすぐにドフィの部屋だとわかった。

横を向くとサングラスを取り気持ち良さそうに眠るドフィの顔があった。

変な夢、遠くからあの日の私たちを見るなんて。

あの日、初めてドフィが人を殺めるところを見た。

怖かった。

いつも優しいドフィが何の迷いもなく人を殺していくのが。

でも、それよりも怖かったのは、私がドフィをそうさせてしまっていると思ってしまったこと。

自分は足手まといでしかないって、もし私が捕まらなきゃロシィは怪我をせずに済んだし、ドフィは殺さずに済んだのにって。

私が側にいることで、大切な人が不幸になるんじゃないかって、そう思うとたまらなく怖かったの。

『ねぇ、ドフィ』

ロシィとはまた違う、彼の金色の髪を撫でる。

『私は…どうすればいいのかな…』

私の中ではっきりしたことがあった。

これは走馬灯ではない。

本当に過去に戻ってきてる。

変よね、こんなおとぎ話みたいなこと。

でも…もしも、もしもこれが、神様の与えてくれた最期のチャンスなら…私は…

『…変えたいと思うの…ドフィ。私に出来るかすごく不安だけど…でもね、』

ロシィも、ドフィも、ローも皆が苦しまない未来のために。

『決めたの、私。必ずやり遂げてみせる。』

だからもう少し待っててね。

私は自分にかかっていた毛布をドフィのはみ出ているところに乗せて、部屋を出た。