【ONE PIECE】運命に抗って (ページ17)

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十六話　夢ページ17

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『やっぱりここにいた！』

コ「！！！」

この女、いつも何処からともなく現れやがって！

間違って叫んじまったらどうすんだよ！

【またオマエか】

と書いた紙を見せる。

『もう！コラソンが来てもう二ヶ月よ？いい加減私の名前も覚えて欲しいわ！』

…気にするのはそこなのか？

【わかったA 今度は何の用だ】

『！覚えててくれたのね！嬉しいわ！』

そんなことが嬉しいのか？

コイツを観察してもう結構経つが、よくわからない女だ。

ドフィが取引の際に訪れた島で、Aへのお土産にと本を選んでいたことがあった。

俺が女へのプレゼントに本なのか？と聞くと、アイツはこういうのが一番喜ぶんだ、ってドフィに言われたのを思い出す。

実際、本を手にしたコイツは目をキラキラさせて喜んでいた。

『朝ごはんが出来たから呼びに来たのよ』

コイツは毎日飯の時間になると俺を呼びにくる。

【悪いが今は腹が減ってない後で行く】

『コラソンは皆で食事をするのは嫌いなの？』

【嫌いというわけではない慣れないだけだ】

『私もドフィに出会うまではそうだったわ。でも皆で食べるご飯ってこんなに美味しいんだって知ったの。それからは毎日ご飯の時間が楽しみになったわ！』

【そうなのか】

『えぇ』

Aは頷きながら俺の隣に座った。

ふわっと甘く優しい香りがAからして、ドキッとした。

『ねぇ、コラソンは夢ってある？』

突然彼女はそんなことを言ってきた。

【虐げられる人がいない、皆が自由に生きれる世界になってほしい】

何故か、ファミリーの一員であるはずのコイツに正直に話してしまった。

笑われるか、最悪な場合疑われてドフィに報告されることも考えられる。

だが、コイツから出た言葉は思いもよらないものだった。

『素敵な夢！コラソンならきっと叶えられるわ！』

Aの嘘偽りのない目に俺は困惑した。

【ドフィの思い描く夢とはかけ離れている】

『そうね、でもどんな夢を持つのもその人の自由よ？』

【そうかもしれないが】

『私も沢山あるのよ！まず世界中の美味しい食べ物を食べるの！それから世界中の面白い物語を読みたいわ！それから…』

そこまで話すと正面に向き直り、視線を落とす。

長いまつ毛が影を落とし、風で髪が揺れる。

俺は思わず見惚れていた。

『…大切な人たちを救える力が欲しい』

そう言った彼女の声が、俺の耳から離れなかった。