十二話 痛み ページ13
「悪いなぁ、オマエに直接恨みはないが、ドフラミンゴにはデカい借りがあるんだ」
たしかドフィの取引先の重役だったが、ドフィに縁を切られて破産した復讐だったはず。
『同情はするけど、復讐では何も解決しないわ』
「っ！知ったような口を！…オマエは大人しくドフラミンゴを苦しめる道具になればいいんだ！」
男は怒りを露わにして私の胸ぐらを掴んだ。
思いの外すごい勢いで引っ張られたため、深く被っていたフードが落ちた。
「…！これはこれは…ドフラミンゴのお気に入りとはよく言ったものだ…この世のものとは思えないな」
あぁ、全く同じ言葉。やっぱり変えられなかった。
「いい女だ…どうだ？俺の女になるか？それなら痛い目見なくて済むぜ？」
私の顎を掴み、無理矢理目線を合わせながら言う。
『悪いけど、貴方のオモチャになるくらいなら死んだ方がいいわ』
この言葉も全く同じ。
なんだ、私、結局何も変わってないのね。
「！！このアマ！言わせておけば！」
男はカッと血が昇ったようで、私を突き飛ばした。
『…っ！』
勢いよく地面に叩きつけられ、身体に痛みが走る。
痛みでうずくまっていると男が近寄ってきて、私と同じ目線になるようにしゃがんだ。
そして私の前髪を掴んで顔を持ち上げる。
「お望み通り、殺してやるよ。だが、その前にドフラミンゴをたっぷり苦しめてからだ」
あぁ、やっぱりちっとも変わってない。
打ちつけられた身体も、掴まれた前髪も痛かったけど、何より心が痛くて仕方がなかった。
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作者名：もえぎ | 作成日時：2022年11月3日 19時
