【ONE PIECE】運命に抗って (ページ12)

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十一話　約束ページ12

『何だか懐かしいわ…』

まさかここに自分で来るなんて、もう二度と来ないと思っていた。

もうずっと使われてない倉庫。

いつもなら漁師たちがいるはずの近くの港も、この日は人気がない。

助けは望めそうにない。

一度、深く深呼吸をして、倉庫の扉を開ける。

錆び付いていて、嫌な音をさせながら開くと、中は埃臭かった。

ベ「っ！！Aお姉様！！どうして！！」

大勢の男たちの中に、鎖でぐるぐる巻きにされたベビー5がいた。

おそらく海楼石の鎖だろう。

ベビー5は子どもだが、強い。

そんな子が普通なら大人しく捕まっているはずがない。

『約束通り来たわよ。その子を解放して』

私がそういうと一人の男がベビー5を担いでこっちに投げた。

私は彼女を受けとめるとそのままぎゅっと抱きしめた。

『ごめんなさいベビー。私が一緒に行ってあげていれば貴女にこんな怖い思いさせなくて済んだのに。』

ベ「…！Aお姉様っごめんなさい！私のせいで姉様が…っ！」

『泣かないでベビー、可愛い顔が台無しよ？』

ベ「でもっ！姉様がっ！」

泣き止まないベビー5をそっと下ろして彼女の鎖を外す。

『さぁこれでもう大丈夫よ。一人で家まで帰れる？』

ベ「嫌だ！姉様も一緒に帰ろうよ！」

ベビー5は必死に私の脚にしがみついて離れない。

でも帰れない。

目の前にいる男達だけでも20人弱、倉庫内に身を潜めている男達が30人、外にはその倍近くいる。

昔から見聞色の覇気だけは優れていたから、どれだけ自分達が不利な状況にあるか、理解した。

私たち二人で無事に逃げる事は不可能だ。

せめて、ベビー5だけでも…

『ベビー5』

私は彼女と同じ目線まで屈み、彼女の手を握った。

『約束しましょう、久しぶりに皆で何処か喉かな場所に遊びに行くの！きっとすごく楽しいわ！』

ベ「Aお姉様…」

『だからベビー、行って。私は大丈夫よ！それにきっとドフィが来てくれるわ。ドフィは強いもの！大丈夫よ！』

そう言うとベビー5は泣き止んで小さく頷いた。

「話は終わったか？」

あの男、忘れもしない。

人を常に見下したようなその目を見ただけで吐き気がした。

『えぇもう済んだわ。さぁベビー5、もうお行き』

男たちの方へ歩き出した私に、ベビー5はまた泣きそうな顔をしたが、ぐっと堪えてそのまま出口の方へ走っていった。

それでいい、良い子よベビー。

倉庫の扉が閉まる音が倉庫内に響く。

相変わらず嫌な音だった。