1，青い林檎 ページ2
．
なんて。
そんな懐かしい思い出も今は考えられもしない。
．
ゆあ「ねぇ、どーすんの？ふるの？付き合うの？」
まったく、Aは優柔不断すぎるんだから。
そう言って購買のメロンパンの最後の一口をぱくっ、と口に入れたゆあ。
ワイワイガヤガヤ、
今日の昼休みも賑やか。
みんな午前の体育のテストが終わってホッとしてるみたいだ。
あれ、こんな子いたんだなー
なんて。
さっきからうちの教室を出入りするほかのクラスの男子を見ながら思う。
ゆあ「ねーぇ、聞いてる？」
A「んんー？なに、」
ゆあ「現実逃避でもしてんの？」
とぼけて「なんの現実逃避？」とでも聞き返したいけど。
さすがにとぼけられない。
だって私が今一番悩んでることだから。
A「……ほんと、……どーしよ」
ゆあ「あんたいつからそんなモテるようになったの」
A「……別にモテてないし……」
ゆあとは中学校からの友達でずっと前から私の事を知ってる。
中学校の私と言っても黒歴史も何もない、
今と全く一緒。
高校生になってもイメチェンもしてない。
メイクだって周りは先生にバレない程度にやってる子もいるけど
私はリップすら塗ってない。
ただの高校生になった中学生。
あ、スカートの丈は、巻いてちょっと上げてるけど。
ゆあ「別にお似合いじゃなくもないと思うんだけどなー。」
A「思うだけっしょ」
ゆあ「いや、本気で」
ゆあは次にいちごミルクの紙パックにストローをさす。
『甘さ控えめ』の文字をなんとなくじっと見つめる。
甘すぎるものは苦手だ。
ゆあ「ん？いる？」
A「いらない。甘さ控えめなんてうそばっかり」
ゆあ「えー、結構ここのメーカー美味しいんだけどな」
ゆあは苦笑いしながら言う。
ゆあ「…………にしても、……あの有岡がねぇ……。」
ストローを口に含んだまま、ゆあはぼそっとそう呟いた。
その名前に異常に反応してしまう。
ふっと『有岡』くんのあの柑橘系の笑顔を思い出す。
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作者名：にーこ | 作成日時：2019年5月2日 18時
