僕らのファジー理論【短編】 (ページ32)

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ちょうどいい G#8 ページ32

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「おし、とりあえず荷物は全部中に運び終わったね」

『ここから地獄の片付けが待ってるんだなぁ』

「…わぁ～」

私と佳浩はこの冬、東京に越して来た。

そりゃあ、移籍の話を聞いた時はびっくりしたけど…。

「てか、ほんとにもっと広い部屋じゃなくて良かったの？」

『いーの！わりと球場から近いし、私がお願いしたんだし、この広さならふたりでちょうどいいよ～』

そう言い、私はリビングでクルクルと体を回転させる。

『あ！そしたらさ、家での掟とか決めたい！』

「おきて？」

漫画や本が沢山入ったダンボールを運びながら首を傾げる彼。

『いち！使用後トイレの便座を閉めること！』

「便座のフタ閉めてないのAだよ…」

『に！私の洗顔クリームは勝手に使わないこと！』

「それは守る」

『さん！私から離れないことー！！』

そう言ってから、私は佳浩にぎゅっと抱きつく。

「A、ふざけてないで荷物整理しようねー」

しかし、すぐさま引き離される。

……ちぇっ。

『悲しい…佳浩の漫画本全部私の部屋に置こ…』

「何でだよ…いやいやちょ、何してんの！」

『へへっ』

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