同居生活2 ページ3
電話口のそらるさんは案の定寝起きだったらしく、僕の言っていることがちゃんと頭に入っているかも定かではないがそれでも問答無用で呼び出した。もう何年にもなる付き合いなのだ。情けは知らん。
「....ふわぁ〜あ、で、なに?俺寝てたんだけど」
あのあと、秒で僕の家に来てくれたそらるさん。面倒臭がりながらも僕の相談を聞いてくれる辺り、やっぱり彼は信頼できると改めて思った。
「それがですね.....曲が作れないって言うか、歌詞が書けないんです」
からからとアイスティーの氷をかき回しながら、目線だけがこちらに向く。
「俺作曲のことってあんま詳しくないからあれだけど...ちなみにどのジャンルの曲を書いてんの?」
「今、ラブソングを作ろうと思ってるんです。でも、なかなかアイデアが浮かんでこなくて」
今回は作曲自体ににのめり込むことがなかなか出来なかった。苦手なジャンルを扱っているからだろうか。
しばらく沈黙が続いた。決して気まずくはないが、個人的には、いち早く何かしらのアイデアが欲しいのだ。そらるさんがかき回す氷の音だけが響いている。
「あっ、そうだ」
何かを思いついたのか、そらるさんが顔をあげた。
ああ、良かった、これで作曲が進むぞ、と安心しきった僕は次の言葉を待った。
だか、考えは想像の範疇を大幅に越していた。
僕の予想していた大分斜めからその爆弾は降ってきた。
「実際に体験してみれば良いんじゃない?」
彼が言うには、いとこのAちゃんを数日間貸してやるから一緒に住んでみろ、と。
正直驚きすぎて、本当に口が空きっぱだった。なんだそれ。僕は作曲の相談をしたい訳でホームステイの話はしていないはずなのだが。そらるさんってそんなにお馬鹿だったっけか。
しかし、そのときの僕はあまり頭が回っていなかった。焦っていたのだ。
そうだ。きっとそこまで気を配れていなかったに違いない。
「いいですね!!その案で行きましょう!!」
本当の馬鹿は、僕かもしれない。
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作者名:Coc39726444 | 作成日時:2019年5月20日 0時