獄都商人 (ページ36)

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さんじゅうさんページ36

｢木舌は、お前の怪我を見ていた。右腕の骨が折れ、それが肌を突き破って出ていたと言っていた。そのおかげで、特に右の出血が酷かった、と。それから、着地に失敗して、脚にひびがはいったかもしれないとも言っていた。横になったまま、立ち上がれなかったそうだな？｣

｢それは間違いなく見間違いです。あの時の血は、ほとんどが返り血でしたよ。立てなかったのは、脳震盪です。でなきゃ、そのあと歩いてここまで帰ってこられるわけがないじゃないですか。｣

｢本当か？お前は再生が早いとさっき言っていなかったか？｣

｢…そんなに再生の早い者が、いくら獄都だからといって、そうそう居るとお思いですか？｣

｢ああ、思わないな。いたとして、恐らく警察や獄卒などの戦闘をするような職に就いていただろうな。｣

｢…今日はよく喋りますね田噛さん。｣

｢誰のせいだと思っている。｣

｢とにかく、そういうことです。離してください。｣

｢…。お前が相手にしていたのは、蟹だったと斬島も言っていた。本当にそれは流血するのか？甲殻類だぞ？｣

｢魑魅魍魎です。本当の蟹ではありません故｣

｢…。｣

｢…。｣

…田噛のことだ。こんな風に、言い逃れできてしまうような証拠しか用意してこない訳が無い。多分、最後にもっと決定的なものを用意しているはずだ。

…そんな目で私を見ないでくれ。