Let's Go Shopping II【H・C・アンデルセン】 ページ2
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「甘い物食べよっ!」
そう云って笑うのは、ベンチに坐るアンデルセンを見下ろす、白髪の少年。買い物をしにショッピングモールに遊びに来た友であり、ブティックの客と協力してアンデルセンを着せ替え人形にした戦犯であるオーガスト・ダーレスだ。
最早小さなファッションショーと化した着せ替えにより疲労困憊となったアンデルセンを休ませる為、モール内のベンチに坐っていたのだが、ダーレスはマップの記されたリーフレット片手に目を煌めかせている。これは折れない。経験則から拒否を諦めたアンデルセンは、未だ重い足を動かして立ち上がる。
「何処か善い所でも見つけた?」
「うん! えっとね、此処! パンケーキが美味しくて最近有名なんだってさ! 写真がちょこっと載ってるけど、すっごく美味しそうだよぉ!」
指差された箇所を見る。モールの中でも有名な店らしく、特集頁があった。ふわふわとしていそうな厚みのあるパンケーキが三枚重なり、その上に沢山の真っ白なホイップと様々なベリーが載せられている。甘味好きには堪らないだろう。アンデルセンとて例外では無く。
「確かに美味しそう……でも、行列出来てるんじゃないかな」
「其処は並ぶんだよ! アンちゃんだってパンケーキ食べたいでしょ?」
「まあ、そりゃあそうだけどさ。……判った。ぼくも食べたくなったし、どうせ云っても聞かないんだから、並ぼっか」
「わぁい! 何だかんだ云って優しいアンちゃんもだぁい好き!」
くるくると回って喜ぶダーレスは、年齢よりも若く見える。幼い、と云った方が正しいだろうか。せいぜい13歳程度に見える。中身は更に幼いが、容姿は中学生程度なのだからその評価だ。
そんなダーレスを落ち着かせ、マップを覗き込んで場所を把握する。六階の、
一度悲惨な目に遭ったアンデルセンは学習し、ダーレスに先頭を行かれる事無く彼の手を引いて歩き出す。きゃあきゃあと楽しそうに笑うダーレスに、その面倒を見ながら苦笑するアンデルセン。傍から見れば兄弟の様なのだが、本人達に自覚は無い。
乗り込んだ昇降機はあっという間に六階へと着き、開いた扉の先の光景に目を丸くする。並んでいるとは思ったが、此処迄とは。
店先には女性客が凡そ50人は並んでいた。ダーレスも一瞬笑うのを止めた程だ。
並ぶと決めたからには、仕方が無い。
アンデルセンは最後尾の女性客の後ろについて、ダーレスが騒がない様に気を配るのだった。
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名無しのチート(プロフ) - アカツキさん» ありがとうございます!(*´ω`*)ムシャムシャ← (2020年5月15日 22時) (レス) id: 6216eeef7c (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 名無しのチートさん» いえいえ、こちらこそ素敵な子達をお貸し頂いてありがとうございました! こんな拙い文章力で良ければ……( *・_・*)っ【文章力の欠片】 (2020年5月15日 22時) (レス) id: 5ad838b917 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのチート(プロフ) - ありがとうございますっっ!!(文才力が欲しい...!)どんどんうちの子達使っちゃってください! (2020年5月15日 22時) (レス) id: 6216eeef7c (このIDを非表示/違反報告)
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