第九話 ページ10
「……変な、奴じゃのう……っ」
泣き顔を、見られたくなくて。
爆豪の胸に、額をつけた。
「はぁっ?!」
明らかに動揺する爆豪。
動揺し乍らも、私の背中に腕を回す。
私は静かに泣き続けた。
人の温かさを、久し振りに感じた様に思えて。
谷斎殿にも、甘えた事等一度も無かった。
何故、爆豪は良いと思ったのか分からぬ。
だが……、
心地良い、のう……。
闇に染まった心が、浄化されていく様じゃ。
そして、いつの間にか、私は眠っていた。
「ん……」
目を開け、状況を把握する。
どうやら、自室の様じゃな。
「起きたんか？」
「む……。爆豪か」
起き上がる。
「アイツが飯置いてったぞ」
「私が起きる迄、待っていたのかえ？」
「……聞きたい事があったからだ」
「詳しい過去の事か」
頷き、肯定する爆豪。
晩飯を食べ、向き直る。
「……ポートマフィアと云う犯罪組織が、ヨコハマに有った」
ぽつり、ぽつりと話していく。
「私は、其処の、……幹部じゃった。……沢山の部下と共に、沢山、命を奪った」
償い切れない程の罪が、私を押しつぶさんとする。
「或る人が居た。私は其の人に憧れ、光に焦がれた。……だが、ポートマフィア先代
爆豪が眉間に皺を寄せ乍ら、何か云いたげに、しかし、何も言わずに私の話しを聞いている。
「気に入っていた、娘が居た。其の子は、鏡花は、光に焦がれて居った。嘗ての私の様にな。……私は、其の子を闇に閉じ込めた」
あの娘は、三十五人殺した、あの娘は。
「ポートマフィアと敵対する者達が居った。武装探偵社と云う。……其処の新人、中島敦と、鏡花が出会った。鏡花の体に巻き付けられた爆弾から、鏡花を守った中島敦。其れから、鏡花は更に光に焦がれる様に成った」
鏡花は……、
「鏡花は、武装探偵社の入社試験に合格し、晴れて光の花と成った。……其れから間もなくじゃ。私は死んだ。死んだら、何故か赤子に成って居た。そして、思ったのじゃ。今世こそ、光を目指そうと。鏡花が光の花に成れた様に、私も……と」
沈黙。
「そうかよ。他に知ってる奴居んのか？」
「話したのは谷斎殿とお前だけじゃ」
「……そのお前っつーの止めろ。名前で呼べ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 402人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霧宮椿(プロフ) - 続き待機しています！姐さんカッコいいです！応援しています！ (2022年11月26日 8時) (
レス) @page38 id: 95d482cbd7 (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - 涙腺崩壊。特に夜叉とのシーンで泣いた (2019年7月31日 13時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
鳳凰寺未来(プロフ) - 星姫さん» ありがとうございます！ 長らく更新できませんでしたが、他の作品含め、少しずつ更新して参りますので、今後とも宜しくお願い致します！ (2019年1月6日 14時) (レス) id: 6e4c19818c (このIDを非表示/違反報告)
鳳凰寺未来(プロフ) - マリーさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ありません。少しずつ更新を再開して参りますので、今後とも宜しくお願い致します！ (2019年1月6日 14時) (レス) id: 6e4c19818c (このIDを非表示/違反報告)
星姫(プロフ) - 作品とても面白いです。更新楽しみにしています！ (2019年1月6日 2時) (レス) id: d716fdff91 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鳳凰寺未来 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月28日 11時
