第十三話 ページ14
壁に打ち当たり、膝を着く勝己。
「すまぬ！ 加減を忘れていた。大丈夫かえ？」
駆け寄る。
と、笑っている勝己の顔が見えた。
「へっ。テメェが加減を忘れる程焦ったんだな」
「む」
「しかも、金色夜叉まで出した」
にやり、と口角を上げる勝己。
「……嗚呼。焦らされたぞ。此処迄遣るとは思わんかったからのう。初めて見せた動きを真似して来居って。しかも自分のモノにして。夜叉白雪の扱いも大分良く成って居る。……全く。才能と努力の塊じゃのう」
夜叉の扱いは、最初の方は目線で筒抜けだったからのう。
「……強く成ったな、勝己」
「！ ……へっ。ったりめぇだ……っ」
ゆっくりと、倒れて来る勝己の体。
其れを優しく受け止め、頭を撫でる。
「良う、頑張ったのう。……勝負は明日じゃ。ゆっくり休め」
暫く頭を撫でていると、谷斎殿が来た。
「紅葉が懐に人をいれるなんざ、珍しい事もあるんだな」
茶化す様にからからと笑い乍ら近付いて来る。
「私も、丸く成ったのう……」
「良い事だ。ヒーローは、信じて頼る事も大事だからな。……紅葉は強い。故に何でも一人でやろうとする。だが、時には他人を頼らないとな」
「頼る、か……」
誰かを、頼る……。
…………。
私の脳裏に、誰かと背中合わせで戦う情景が浮かんだ。
「……そんな日が、来ると良いなあ」
「きっと来る。……いつか、そう遠くない未来に。誰かを頼り、共に戦い、共に、更に未来へと歩みを進める……。そんな日が」
「共に、歩みを……」
懐で眠る勝己を見る。
ふと、思う。
此奴とならば、そんな未来も──。
「へぇ？」
「っ！」
にやにや、と苛つく笑みをする谷斎殿。
勝己優しく床に寝かせる。
「…………」
「えっ、ちょ！ こ、紅葉さん？ その振り上げた刀をどうするおつもりで……？」
ちと本気で刀を振り下ろした。
「ぎゃあああああああッッッ!!」
逃げ回る谷斎殿を追撃する。
そんなこんなで、夜が明けた。
「では谷斎殿、行ってくる」
「おう。行ってこい。爆豪君もな」
「……っす」
「やり切って来いよ」
力強く頷き、雄英に向かって歩き出す。
遂に、この日が来た。
雄英高校……。
光の花への、第一歩。
此処で、私は、奪う側から、救う側に……！
「退けデク！」
む。
おお、出久か。
矢張り此処を受けるのじゃな。
「か、かっちゃん！」
「俺の前に立つな殺すぞ」
理不尽。
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霧宮椿(プロフ) - 続き待機しています！姐さんカッコいいです！応援しています！ (2022年11月26日 8時) (
レス) @page38 id: 95d482cbd7 (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - 涙腺崩壊。特に夜叉とのシーンで泣いた (2019年7月31日 13時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
鳳凰寺未来(プロフ) - 星姫さん» ありがとうございます！ 長らく更新できませんでしたが、他の作品含め、少しずつ更新して参りますので、今後とも宜しくお願い致します！ (2019年1月6日 14時) (レス) id: 6e4c19818c (このIDを非表示/違反報告)
鳳凰寺未来(プロフ) - マリーさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ありません。少しずつ更新を再開して参りますので、今後とも宜しくお願い致します！ (2019年1月6日 14時) (レス) id: 6e4c19818c (このIDを非表示/違反報告)
星姫(プロフ) - 作品とても面白いです。更新楽しみにしています！ (2019年1月6日 2時) (レス) id: d716fdff91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳳凰寺未来 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月28日 11時
