HERO【石川祐希】 (ページ29)

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「監督に呼ばれたからもうちょっとかかりそう」

そんなメッセージが祐希くんから届いて
私はもう1杯カフェオレを注文した。

ちびちびと口に運んでいると
再び入り口のドアが開いた。

「きゃー！！めっちゃおしゃれじゃない？」

「まじでイタリアおしゃれすぎ」

聞き慣れた言葉に視線を向けると
二人組の日本人女性が入ってきた。

彼女たちは少し離れた席に座ったけど
店内に人が少ないのと
日本語で話しているので会話がよく耳に入る。

彼女たちは英語で飲み物を注文すると
届いた飲み物の写真を何枚も撮っていた。
どうやらイタリアに住んでいるのではなく
日本から来ているようだった。

「それにしても石川選手かっこよかったよね！！」

「ほんとに！めちゃくちゃイケメン！！」

聞こえてきた名前に思わず反応してしまう。

「ここって石川選手もよく来るカフェなんでしょ？」

「うん、他の選手のtwitterでみたもん」

「じゃあもしかしたら会えるかもしれないね」

彼女たちの会話を聞いて一気に冷や汗が出てくる。
もしかしてとは思ったけど本当に祐希くんのファンだった。

私と一緒にいるところを見られたら
きっと勘違いされてしまう。

それどころか私がここにいるってだけで
もしかしたら、よくないんじゃ……？

勝手に焦っていたけれど
彼女たちは午後からはヴェネツィアの方に
観光に行くらしく、すぐに店を出て行った。

心配は杞憂に終わって
すぐに祐希くんから連絡が来て私もお店を出た。