HERO【石川祐希】 (ページ28)

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試合が終わると観客も徐々にはけていく。

人が少なくなった頃を見計らって
私も会場となったスタジアムを出た。

祐希くんにはいつ出られるかわからないから
近くで待っててといわれてる。

スタジアムの周りをふらふらしていると
カフェを見つけたので入って待つことにした。

イタリアはどこもかしこもおしゃれに見えて
初めの頃はカフェに入るのにも緊張していた。

中は落ち着いた雰囲気だった。
カフェラテを注文すると
テーブルまでは年配の店員さんが運んできてくれた。
ここのマスターだろうか。

『今日はPadovaは勝てたかな？』

『はい、勝ちましたよ』

スタジアムの近くだからか
それとも私が日本人だからか
グッズも何も持っていなかったけど
店員さんには私が試合に行ってきたことはお見通しらしかった。

『ユーキが来てから、Padovaは調子がいいからね』

『それはよかったです』

ちょうど他のお客さんが入ってきて
店員さんが離れていった。

・

・

しばらくたった頃だろうか
スマホが震えて祐希くんからのメッセージが届いた。

ちょうどミーティングが終わって
もう少ししたら出られるらしい。

今いるカフェの名前を伝えると
「終わったら行くからもうちょっと待ってて」と
すぐに返事が返ってきた。